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手取りが増えたら何をしたい?

2024年の衆議院選挙では、政党の議席数に大きな変化が生じました。これまで以上に多くの人が投票に行った・・・というわけではありませんでしたが、自民党が大きく議席数を減らす一方、立憲民主党と国民民主党が議席数を伸ばしています。


最近のニュースで話題となるのが国民民主党の掲げる「手取りを増やす」です。年収の壁について、基礎控除、給与所得控除の合計を現在の103万円から178万円に引き上げるといった内容ですね。


103万円を超えると所得税が課税されることになり、扶養に入っている人が103万円以上の収入を得てしまうと扶養控除が適用されません。これにより所得税や住民税の負担が増えてしまうため、額面は増えたのに税金負担のために手取りは減ってしまいます。被扶養者はパートやアルバイトをするなら103万円を超えないようにシフトを組まないと損するかもしれない、といったのが現在の仕組みです。


手取りが増えたら何をしたい?


働いている人からすれば、手取りが増えるのは嬉しいことです。手取りが増えたとしたら、まず何にお金を使いたいのか誰もが考えるところ。世間の人はどのように考えているのか見ていきます。


少し前のアンケートになりますが、株式会社ビズヒッツ(三重県鈴鹿市)が手取り30万円の男女214人を対象に「給料が増えたらお金をかけたいことに関する意識調査」を実施したと発表しました。調査期間は2021年6月28日~7月13日とのことです。


この調査では、上位7位まで出ており、貯蓄、投資、子どもの教育費・自分の趣味、住宅関連、ファッションと美容、旅行の順でした。グラフにすると以下のようになります。


出所:株式会社ビスヒッツ


貯蓄が最も多いというのは何となくイメージできましたが、意外にも2位は投資でした。貯蓄・投資のいずれもお金に関することなので、将来の不安を何とかしたい!というニーズが強いように感じられますね。


株式会社I-Houseが運営する住まいのメディア「mitaina」が実施した「もし本当に所得が増えたら、何にお金を使いたいか」のアンケートも見てみます。対象は20歳以上の会社員200人で、2023年11月24日~12月3日に実施されました。


結果は以下の通りです

 

出所:mitaina(ミタイナ)


こちらも貯蓄1位、投資2位となっており、異なる会社が似たようなアンケートを実施しても上位の顔ぶれはあまり変わっていません。いずれのアンケートにおいてもお金に関することが最も票を多く獲得しました。これらを踏まえると、今後もし手取りが増えることになったら金融関連サービスのニーズが高まるかもしれませんね。


2023年の時点で貯蓄の意向が最も強いですが、24年以降は金利のある世界になりました。緩やかではあるものの、段階的に預金金利が上がる可能性も高いので、預金ニーズはさらに高まるかもしれません。


一時「老後2000万円問題」が話題となり、現役世代のお金に関する不安は募るばかりです。そういったご時世もあってか、投資に対する意識は徐々に変わってきている印象です。24年からは新NISAが始まっており、一部の人はiDeCo(個人型確定拠出年金)もうまく利用して資産運用を行っています。働く世代にとって手軽なネット保険も需要が増しそうですね。


また。近年では車や時計など形のあるモノ消費よりも、思い出作りや体験といったコト消費が旺盛です。これは旅行、趣味の一部などが該当します。働き方の多様化を受けた住み替えニーズ、子どもへの教育にお金をかけたいといった世帯が増えていることなども、アンケートに反映されているように思えます。


国の政策で手取りが増えるかどうかはこれから議論がされるので、まだ決まったわけではありません。もちろん、政策だけでなく、昇給、転職などによっても手取りは変わりますので、何をきっかけに使えるお金が増えるかは人次第です。とはいっても、国民の可処分所得が底上げされることで恩恵を受ける企業も多いでしょうから、どの企業が業績に追い風となりそうか、投資の側面でも考えてみると面白そうです。


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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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