スーパーに行くたびに値上がりを目の当たりにして、タメ息が出ますね。嗜好品、化粧品、家電など、生活を潤す商品のみならず、生鮮食品、加工食品、日用品などの身近な商品にまで値上げの波が押し寄せています。
消費者物価は、1年前に比べて2%上昇が続く
7月29日、東京都区部の7月の消費者物価指数の速報値が総務省から発表されました。変動の大きい生鮮食品を除いた「総合指数」は、2020年を100として102.1。前年同月比2.3%上昇で、上昇は11カ月連続です。
全国の消費者物価指数は、6月の「総合指数」が101.7、前年同月比2.2%の上昇です(グラフ)。
上昇は6月まで10カ月連続で、2%を超えたのは3カ月連続。東京都より3週間ほど遅れて発表される全国の7月分も、2%台が予想されます。
ガソリンは政府の補助金のおかげで価格が抑えられているものの、エネルギーの高騰が治まっているわけではありません。資源の高騰は、あらゆる製品の価格に影響を与えています。パッケージの材料が値上がりしているために値上げをする、というケースも見受けられます。
円安のために輸入品の値段が上がる、輸送コストが増えたから値上げする、人手不足でアルバイトの時給を上げるために価格を上げる……。値上げの理由があちこちに転がっています。
以前なら原材料費が値上がりしても、企業努力で押さえられてきました。しかし昨今は、消費者側でもインフレを許容せざるを得ない雰囲気。小売価格への転嫁が進んでいます。テレビ番組の街頭インタビューを見ても、値上げに対して「仕方がないですね」と答える人が増えていたように感じます。
元本を保証されても……
そのような中、定期預金などの金融商品の金利は一向に上がりません。主要な銀行の1年定期預金は、年利0.002%が長く続いています。100万円を預けて、1年後の元利合計は1,000,020円。税金が引かれると1,000,016円です。
現在の物価動向は、「1年前に100万円だった商品が、2%値上がりして、現在は102万円になっている」という状況です。1年前に預けた定期預金が満期を迎えて、1年前に検討していた商品を買おうとしたら、2万円ほど足りないのです(図)。
日本では、長い間、物価が上がらないデフレの状態が続いていました。商品の値段が少しずつ下がっていました。また、品質が良くなっても値段が据え置かれていました。そのおかげで、私たち消費者は、物価が上がることを想定せずに、お金の管理ができていたのです。
「変動」を「柔軟性がある」と考えてみては?
けれどそれがいま、逆回転し始めています。資産形成の考え方も変えていかなければならないのではないでしょうか。
何しろ高齢社会ですから、いま積み立てているお金を使う「老後」が来るのは、20歳代なら50年後、30歳代なら40年後、60歳代でも10年以上経ってからになるでしょう。
そのような長い期間、物価が同じままということは考えられません。もちろん再びデフレがやってくるかもしれませんし、更なるインフレになるかもしれません。そう、先のことはわからないのです。
そこで、「分からないからこそ、価値が変動する金融商品が適している」と考えてはいかがでしょうか。経済環境に応じて、資産価値が変動する金融商品です。
今まで「投資をして値下がりした」という環境は、物価も同じように下がっていた場面がほとんどでした。資産価値が下がっても、買いたい商品の価格が下がっていれば同じものを買えます。商品の価格が上がった時には、資産価値も上がっていなければ、同じものは買えません。
運用をしていると、100万円が102万円になる可能性があります。ただし98万円になってしまう可能性もゼロではありません。けれど、金融の知識を身につけたり、資産運用を経験したりすると、経済の変化に目が向くようになります。98万円にならないためにはどうしたら良いか、考えようとするでしょう。物価と同じ下落率だから大丈夫、と冷静に見られるかもしれません。
アンテナを張って状況を見極めて先を予測し、自分なりにお金を生かすことは、生活にとても大切なスキルだと思いませんか。