コロナ禍をきっかけに、現物資産に注目が集まり金やウイスキー、アートなどの価格が上昇しました。「三密」を避けられるスポーツとしてゴルフの人気が高まり、それに伴いゴルフ会員権の相場も値上がり傾向にあります。
今回は、ゴルフ会員権の値上がりや、コロナ禍で注目が集まり2024年5月現在も高水準を維持する現物資産3つを解説します。
※記事の内容は2024年5月28日時点の情報を元に作成したものであり、現在の内容と異なる場合があります。
ゴルフ人気でゴルフ会員権が値上がり傾向に
近年ゴルフ人気が高まっていることに伴い、ゴルフ会員権が値上がり傾向にあります。
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」の結果を見ると、コロナ禍にゴルフ場の売上高は増加しました。
出典:経済産業省「特定サービス産業動態統計速報(2022年12月)」
ゴルフは屋外でプレーしますので、「三密」を回避できるスポーツとして人気が高まったのです。
ゴルフ会員権の相場も、関東圏・関西圏ともに上昇傾向にあります。特に立地が良くネットで予約できるゴルフ場は需要が高いとみられています。
ただし地方のゴルフ会員権は需要が少なく、値下がりするゴルフ場も存在します。
コロナ禍には、他にも金などの「現物資産」に注目が集まりました。コロナ禍に人気が高まり、現在も高水準で推移している現物資産を解説していきます。
コロナ禍に注目が集まり、現在も人気がある現物資産3選
金(現物・投資信託など)
ウイスキー
アート
1.金(現物・投資信託など)
金の価格は新型コロナウイルス感染症の影響で2020年3月頃から上昇し、2024年5月時点で4年前のおよそ2倍になっています。
現物としての金に投資する方法だけではなく、金価格に連動する投資信託・ETFなど金融商品への投資、金関連企業に投資する金融商品などがあります。
金(現物)のメリットは、株式や債券のように「信用リスク」が無いことです。
信用リスクとは、株式であれば企業、債券であれば国や地方自治体・企業などの発行元の財務状況が悪化し債権を回収できなくなってリスクを指します。
金はファンドを通じて保有している場合を除き、債権の回収が不可能になる恐れはありません。
ただし、現物の金は株式でいえば配当金のように保有することでお金を生むことがありません。定期的に配当収入などを得たい方には不向きで、売却益(キャピタルゲイン)を目的として保有します。
金の投資信託の中には、分配金が出るファンドも存在しますので現物・金融商品はそれぞれメリット・デメリットがあります。
各国の中央銀行では、リスク分散を目的に金を保有することがあり近年個人だけではなく中央銀行でも需要が高まっていると言われています。
2.ウイスキー
ウイスキーは、コロナ禍の「家飲み」需要やハイボールの人気などの影響で需要が高まりました。
マッカランなど世界で人気のあるレアウイスキー1,000本を対象にした指数は以下のように推移しています。
出典:Rare Whisky 101 「The Home of Rare Whisky ー Whisky Investing, Old Whiskies, Whisky Collecting and Whisky Valuations Worldwide」
また、KD Market Insights社によると世界のウイスキー市場は2021年に約653億米ドルの規模に達し、2022年から2032年の予測期間には年平均成長率5.2%で成長することが予測されています。
2028年までに市場規模は1270億ドルに達する見込みで、アジア圏、特にインドで需要が高い傾向にあります。
ウイスキー投資には、大きく分けてボトル投資とカスク(樽)投資があり、ボトル投資はカスク投資に比べ低リスク・低リターンと言われています。富裕層に人気がある現物投資の1つです。
3.アート
アート・バーゼル(世界最大級のアートフェア)とUBSによる「Art Market 2024」のレポートによると、2023年の世界のアート取引額は650億ドルです。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2020年を除き、近年増加傾向にあります。
アートの売買は画商から購入する、オークションで落札するなどの方法で行われますが最近はオンラインでの取引が活発化しています。
日本でも20~30代の若年層を中心に人気があり、国内大手のアートオークション業者の2022年の年間落札総額は、約70億円(前年比1.5倍)で過去最高を記録しました。世界的に有名なオークション業者「サザビーズ」においても2023年5月日本人がおよそ80億円のアートを落札したことが分かっています。
草間彌生や奈良美智など、世界で活躍する日本人アーティストのアートは価格が数十倍に跳ね上がることがあります。
アートが好きな人にとっては、趣味と実益を兼ねた投資にもなるでしょう。
しかし、アートの選び方や保管など専門知識が必要となります。
※上記は近年値上がりした「現物資産」の紹介であり、購入を推奨するものではありません。
まとめ
現物投資は、株や債券などのように「参考にする指標が無い」という特徴があります。
しかし、金は価値がゼロになる可能性が低いため資産の分散先として需要が高まっています。この記事を参考に、株や債券以外の投資についても知っておきましょう。