BTC円、1300万円には届かず…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2026年9月3日3時00分頃、対円では前週(7日前)比2.1%安の1225万円前後で取引されています。BTCドルが7万7100ドル台と年初来では約12%弱での推移です。
BTC円は8月28日に再び強含み、一時1297万円台まで上げ幅を広げました。もっとも、1月末以来の1300万円が重石となると、一転し売り戻しが強まります。その日の夜には1230万円台まで下落し、9月に入っても戻り鈍いまま、1220万円割れまで下押ししました。
BTCドルも8万1400ドル台と、8月半ばの直近安値からだと30%近く反発しました。ただ、時間足のロウソク足では長いヒゲを作り、28日のNY時間には7万7000ドルを割り込みます。一旦は持ち直すも8万ドルは遠く、9月2日夜には一時7万6200ドル台まで水準を落としました。
※Trading Viewより
8月の上昇から一転、何が起きたのか
BTCドルが急失速した要因の一つは、米連邦準備理事会(FRB)のウォーシュ議長がジャクソンホール会合で「インフレ抑制は未完成」とタカ派的な発言をしたことです。
市場の利下げ期待が後退し、米長期金利が上昇。金利を生まないビットコインにとっては直接的な逆風となりました。BTCドルチャートに重ねた米10年国債利回りを見ると、金利上昇とBTC下落の連動が確認できます。

※Trading viewより
加えて、米国とイランの軍事的緊張が再び高まり、原油価格が90ドルを突破したことでインフレ再燃への懸念が広がり、投資家のリスク回避姿勢が強まりました。
「Bitcoin hits $77,000 wall as the Fed gets trapped between weak jobs and $90 oil」
さらに8月は約25%上昇と2017年以来でも非常に強い月となっただけに、月替わりとともに利益確定の売りが出やすい環境でもありました。過去の傾向を見ても9月はビットコインにとってパフォーマンスが弱い月というのも意識されたようです。
「Morning Minute: Bitcoin Enters ‘Rektember’ After Best August Since 2017」
それでも買う企業、売りを警戒させた企業
8月末から9月にかけて、企業による大口BTCの動きが相次ぎました。まず、上場企業で最もBTCを保有しているストラテジー社が、2カ月にわたる購入停止後、4603BTCの追加購入を再開。
「Strategy Buys 4,603 Bitcoin After 10-Week Pause and Continues STRC Buybacks」
あわせてストライブ社も1800BTCを約1億4300万ドルで購入しています。同社は米国の資産運用会社で、ビットコインを中心に据えた投資戦略を掲げており、ストラテジーと同様のBTCトレジャリー路線です。

一方、市場に警戒感をもたらしたのが日本の上場企業メタプラネットの動きです。同社は約4800BTCをコインベース・プライムへ移動させたことが確認され、売却への懸念が広がりました。
メタプラネットは日本最大の法人BTC保有企業であり、9月1日時点の保有量は約4万3000BTCに達しています。ストラテジー社を参考にした「アジアのストラテジー」とも呼ばれており、2027年末までに21万BTCの保有を目標に掲げていました。
取引所への送金が直ちに売却を意味するわけではありませんが、保有量の約29%に相当する大口移動だけに市場が敏感に反応しました。
「Metaplanet moves 4,800 BTC worth $377M to Coinbase」
ETFとアルトコインに広がる機関投資家の資金
ETFの資金フローにも変化が見られます。8月28日に2億100万ドルの純流出を記録して連続流入が途絶え、その後流入に転じたものの、流入額の約95%がブラックロックのIBITに集中するという偏った構図が浮き彫りになりました。
IBITへの信頼と流動性は高いものの、他のETFに資金が集まりにくい状況は、ETF市場全体の成熟という観点からは課題と言えます。
こうした中、BTC・ETH以外の暗号資産へも機関投資家の資金が向き始めています。XRPの現物ETFにはゴールドマン・サックスなど大手金融機関の保有が確認され、9日間で約1億6000万ドルが流入しました。
「XRP ETFs pull in $170 million over 11 days. Goldman tops institutional holders」
さらに米大手証券チャールズ・シュワブが、BTC・ETHに加えてSolana(SOL)、Avalanche(AVAX)、Chainlink(LINK)の取り扱いを計画していることが明らかになりました。
AVAXはAvalancheブロックチェーンのネイティブトークンで高速決済が特徴、LINKは現実世界のデータをブロックチェーンに橋渡しするサービスの基軸トークンです。
「Charles Schwab Adds Solana, Avalanche, Chainlink to Crypto Platform」
伝統的な証券会社の販売チャネルにアルトコインが組み込まれる動きは、市場の裾野が広がっている表れと言えます。
CLARITY法案の延期とセキュリティリスク
規制面では、包括的な暗号資産規制法案であるCLARITY法案の本会議採決が9月15日に延期されました。予測市場における2026年内の成立期待は過去最低水準へ急落しており、これまで相場の追い風となっていた政策期待が急速に後退しています。
210回でお伝えした通り、CLARITY法案は銀行や機関投資家が暗号資産を扱いやすくするための重要な法整備であり、その遅れは市場にとって無視できない重しです。
「The Crypto CLARITY Act Explained: Why the Senate Just Delayed Its Vote to September」
セキュリティ面でも深刻な事件がありました。8月30日、クロノス・チェーン上のレンディングプロトコル「Tectonic」が攻撃を受け、約75億円規模の資金が流出しました。Cクロノスとは大手暗号資産取引所Crypto.comが運営するブロックチェーンで、DeFiやNFTなど様々なサービスが動いています。
今回はガバナンストークンの価格が不正に吊り上げられ、その担保価値を使って他の資産が借り抜かれるという手口が使われ、Cronosチェーンが一時ブロック生成を停止する事態となりました。
ここ1週間は、規制と安全性、両面での課題が同時に浮き彫りになった週とも言えるでしょう。



