「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回は2026年7月に上場したアイ・グリッド・ソリューションズをみていきます。
事業内容:独自のAIプラットフォームを中核に据え、真のGX推進に挑む
同社は、「グリーンエネルギーがめぐる世界の実現」をビジョンに掲げ、以下の4つのアングルから、再エネの導入拡大などによるGX(グリーントランスフォーメーション)推進に取り組んでいます。

同社におけるGX推進の最大の特徴は、このように再エネの創出、活用、供給を統合的に実現し得ている点です。この根幹を成すのは、同社の顧客である多数の電力需要家層、分散発電所であるオンサイトソーラーのネットワーク、そして電力需給を最適化し両者を結びつけるテクノロジーであり、これらが融合した同社独自のAIプラットフォーム、「R.E.A.L. New Energy Platform」に強みは集約されています。
IPO時の状況:仮条件上限での公開価格決定も、上場直後は軟調で公開価格割れ
2026年7月29日、東証グロース市場に上場しました。公開価格は仮条件(740円から770円)の上限である770円に決定しました。
上場当日の初値は953円と、公開価格を23.8%上回る良好なスタートを切りました。しかし、上場直後は新興株市場全体の冷え込みや利益確定売りに押され、株価は軟調な推移をたどりました。上場からわずか数日後の8月3日には一時670円まで売り込まれ、終値ベースでも728円と公開価格を割り込む苦しい展開となりました。なお、この670円が現時点(2026年9月3日)の上場来安値となっています。
直近の株価動向:過去最高を更新する好決算
この下落局面から株価が急速に息を吹き返すきっかけとなったのが、8月14日に発表された上場後初となる2026年6月期通期決算です。
・売上高:257.0億円(前期比12.0%増)
・営業利益:35.8億円(前期比14.1%増)
・経常利益:28.7億円(前期比20.0%増)
・当期純利益:19.4億円(前期比21.6%増)
主力であるGXソリューション事業が成長をけん引し、売上総利益やEBITDA、当期純利益のいずれも過去最高を達成。事前の計画をしっかりとクリアする極めて順調な着地となりました。
さらに、同時に示された2027年6月期の業績予想では、売上高309.7億円(前期比20.5%増)、営業利益38.4億円(前期比7.3%増)、当期純利益21.4億円(前期比10.3%増)と、二ケタの増収増益によるさらなる成長加速の見通しが示されました。
株価は決算直後こそ売りに押されたものの、その後は上昇基調に転換。8月21日には前日比プラス91円の876円と急伸し、8月28日には制限値幅上限となる前日比プラス150円のストップ高(1038円)を記録しました。その後も買いの勢いは衰えず、9月3日は再び制限値幅上限となる前日比プラス150円の1149円ストップ高まで買われており、8月31日に付けた上場来高値(1184円)の更新が視野に入っています。
今後の見通し:財務を圧迫しないアセットライトな成長スキームが拡大を後押し
今後のさらなる成長に向けた同社の最大の武器は、バランスシートに大きな財務的負担をかけずに事業を拡大できるアセットライトなビジネスモデルです。
同社のGXソリューション事業には、自社が投資して設備を保有するPPAサービスに加え、アライアンスパートナーが設備投資を担うアライアンスソリューションがあります。パートナーや顧客が資産を保有することで、同社は借入余力に依存することなくスピーディーに開発を進めることができ、案件開発時に一括で開発報酬などのフロー収益を得るとともに、完工後も保守管理や余剰電力の買い取りなどを通じてストック収入を継続的に獲得できます。
現在の株価1149円における2027年6月期の予想PERは約18.6倍です。類似のクリーンエネルギー関連企業と比較しても特段の割高感はなく、むしろ独自のAIプラットフォームを通じた余剰電力の地産地消・循環ビジネスモデルという独自の強みを考慮すれば、上値余地は十分にあります。
脱炭素という強力な国策テーマを背景に、アセットライトな高効率成長が軌道に乗るなか、今後の四半期決算でさらなる成長が確認されれば、株価の水準訂正が期待できそうです。
【アイ・グリッド・ソリューションズの日足チャート】




