株に投資してみたいものの、どの株を買ってよいのかわからないという人は多いと思います。【いまから銘柄選び】では、投資を始めようと考える人たちに向けて、様々なアプローチの銘柄選びの方法をご紹介します。
今回は株式投資の入り口として定番ともいえる「10万円で買える高配当銘柄」を探していきたいと思います。
項目設定
今回もトレーダーズ・ウェブの銘柄スクリーニングを利用します。このページには37の項目があります。
今回のスクリーニングでは、「10万円以下」、「高配当」、「トレンド上向き」という3つの条件を設定して抽出します。
「03:終値」は1000円以下とします。上場株式は1単元100株に統一されていますので、終値を1000円以下に設定すれば10万円以下で買える銘柄を抽出することができます。
「34:配当利回り」は4.5%以上とします。
「15:トレンド(100日)」は上昇とします。この条件に合致するということは中期のトレンドが上向きということです。業績悪化懸念が高い会社はトレンドが下向きになる可能性が高いと考えられますので、そのような会社をできるだけ排除することがこの条件の目的です。
なお、右のチェックボックスにチェックが入っているとスクリーニング結果に表示されます。必要のない項目はチェックを外すようにしてください。今回は重要項目である終値と配当利回りはチェックを入れましたが、トレンド(100日)は特に必要ないのでチェックは入れていません。
スクリーニング結果
これらの条件を設定すると、33銘柄(2023/11/14更新時点)が抽出されました。以下は抽出された33銘柄を配当利回りの高い順に並べたものです。
1位は、土地開発からの戸建て販売まで行う不動産業のグランディハウス(8999)です。
同社は上期の決算発表と併せて通期業績予想の下方修正を発表しました。24.3期の連結純利益予想は10億円(前期比54%減)と大幅減益を見込んでいますが、配当予想(1株当たり32円)は据え置いています。
ただ、24.3期の1株当たり当期純利益予想は34.95円なので配当性向は90%超える水準(=32円÷34.95円)となっています。今期は32円の配当を実施できたとしても、来期の業績次第では、大幅な減配になる可能性があります。
2位は、独立系中堅証券の丸三証券(8613)です。同社は特別配当の実施予定を発表しており、24.3期~26.3期までが年間30円、27.3期が年間20円、28.3期が年間10円としています。
この特別配当に普通配当も加わりますので、中期的(3-4年程度)に見れば同社の配当利回りは魅力です。しかし、利益を上回る分の配当の原資は内部留保となります。中堅証券は顧客の高齢化が進んでおり、長期的な成長は見込みづらいと考えられます。特別配当の実施終了とともに減配となる可能性は高い点には注意が必要です。
3位はFX大手のマネーパートナーズグループ(8732)。同社は2023年3月15日に配当性向を「30%をめど」→「50%をめど」に引き上げました。配当性向を引き上げていますので、増配期待は高いのですが、24.3期上期(4-9月)の連結営業利益は3億8500万円(前年同期比3%減)と小幅な減益となりました。
配当性向を引き上げても業績が安定もしくは成長しなければ、減配の可能性があります。下期に巻き返すのか、それとも上期の流れのまま減益幅を広げるのか、投資するのはもう少し動向を確認してからが良いと思われます。
最後に
全体相場が大きく上昇する過程で、配当利回りの高い銘柄は減少してきています。そのような状況で高い配当利回りを維持している会社には「投資家が避ける問題が何かあるのではないか?」と疑ってみるべきでしょう。
「10万円で買える高配当銘柄」というコンセプトですので、気軽に投資できる金額ではありますが、目先の配当性向の高さのみに着目してしまうと、株価の値下がりで大きく損をしてしまう可能性があります。配当の原資は原則として利益です。スタンスが長期投資であれば業績面も必ずチェックするようにして下さい。