株に投資してみたいものの、どの株を買ってよいのかわからないという人は多いと思います。【いまから銘柄選び】では、投資を始めようと考える人たちに向けて、様々なアプローチの銘柄選びの方法をご紹介します。
ドル円相場は一時期は1ドル150円を超えていましたが、このところ140円台で推移しています。米国の利上げサイクルの終了観測が強まっており、来年の利下げ期待も高まっています。このような状況を踏まえ、今回は円高がメリットになる銘柄としてニトリホールディングス(以下、ニトリHD)を紹介したいと思います。
ニトリHDの株価推移(中期)
家具・インテリア製造小売りの同社は、海外に自社工場も有しています。海外で製造し、輸入して販売するというビジネスモデルは円安による輸入コスト増加の影響を受けやすいといえます。
株価推移をみるまえに、2021年9月からの為替の動向を確認しておきます。2021年9月~2022年2月のドル円相場は1ドル110円台で推移していました。大きな変化が出たのは2022年3月です。ここから円安が一気に進行し、2022年10月には151.93円まで円安が進行しました。
ニトリHDの株価については、2021年9月は2万円を超えていましたが実際に円安が進行する前の段階(2021年9月~2022年2月)も株価が下落しているのがわかります。これは円安進行懸念が高まったためと考えられます。
そして実際に円安が進行した3月からさらに一段安となります。いったん反発するも、2022年10月には1万1465円まで下落しました。11月以降は円高が進行したこともあり株価は切り返しの動きとなっています。
2023年に入り、1月に1ドル120円台まで円高が進行しましたが、その後は円安傾向が続き、11月13日に1ドル151.94円をつけました。30円ほど円安が進みましたが、2023年は2022年ほど株価は下落していないことがわかります。
【ニトリHDの週足チャート(2021年9月から2023年11月24日まで)】
ニトリHDの株価推移(短期)
ではもう少し短い期間の株価推移をみてみます。掲載しているチャートは日足にボリンジャーバンドを追加し、サブチャートはストキャスティクス(ファスト)を掲載しています。
2023年9月から10月にかけては緩やかに円安が進行し10月31日に1ドル151.71円をつけました。この流れを受けて株価も下落基調が続きますが、150円台に乗せる前の10月24日から切り返しの動きとなっています。
これは翌週の日銀金融政策決定会合でのイールドカーブコントロールの再修正の可能性が円高進行期待を高めたことによると考えられます。日銀金融政策決定会合およびFOMCを通過し、いったん材料出尽くしで売りが出ました。なお、ストキャスティクス(ファスト)ではこのタイミングでしっかりと売りサイン(買われすぎ圏である80%以上の水準で%Kが%Dを下抜ける)がでています。
その後、決算発表を受けて一段安となります。同社が2023年11月10日に発表した24.3期上期(4-9月)の連結営業利益は551.7億円(前年同期比20.1%減)でした。円安の進行に起因する輸入コストの上昇などで売上原価が増加したことが響きました。
決算発表で下落した株価も足もとで円高傾向となっていることで騰勢を強めています。ただ、チャートをみてみると11月28日はボリンジャーバンドの+2σで頭を抑えられることになりました。加えて、直近ではストキャスティクス(ファスト)で売りサイン(買われすぎ圏である80%以上の水準で%Kが%Dを下抜ける)がでています。
【ニトリHDの日足チャート(2023年9月から2023年11月30日まで)】
まとめ
同社株については、今年の円安局面であまり下げていないことがわかりました。本格的な株価上昇は円高進行→輸入コスト低下→業績回復という流れができる見込みが出てからと考えられます。
11月28日にはウォラーFRB理事が講演で、インフレ抑制のためのこれまでの政策に自信を示し、今後3-5カ月の間にインフレ鈍化が続くなら利下げ転換もあり得ると発言しています。FEDウォッチをみても2024年4月30日~5月1日、6月11日~12日あたりのFOMCでの利下げ転換の予想確率が高まっています。
ニトリHDの業績回復はもう少し先になりそうですが、株価はそれを先取りして動きます。実際に来年米国で利下げが開始されれば、同社株は下値を切り上げる展開となりそうです。来年の2万円大台回復の可能性が高まってきたと考えます。