いまから銘柄選び

【いまから銘柄選び】第3回「テーマ株に挑戦」

株に投資してみたいが、どの株を買ってよいのかわからないという人は多いと思います。【いまから銘柄選び】では、投資を始めようと考える人たちに向けて、様々なアプローチの銘柄選びの方法をご紹介します。第3回はテーマ株についてみていきます。


テーマ株とは

テーマ株とは、特定のテーマに該当する銘柄の括りです。それぞれのテーマを頭に付けて、●●関連銘柄と呼ばれます。

具体的には、



があります。もちろんここで上げたもの以外にもたくさんあります。



テーマ株は一斉に動く?

特定のテーマに関する報道などが出た場合、そのテーマ株が一括りとして投資家の物色対象となることがよくあります。では実際の事例をみてみましょう。


2022年9月7日18時半ごろに親ロシア派のハッカー集団「キルネット」が動画を公開し、「日本国政府全体に宣戦布告」とのメッセージを載せたと伝わりました。


キルネットによるサイバー攻撃への警戒感が高まったことを材料に、翌8日にサイバーセキュリティ関連銘柄に資金が向かうことになりました。FFRIセキュリティ(3692)、サイバーセキュリティクラウド(4493)、セキュアヴェイル(3042)、セグエグループ(3968)などに買いが集まりました。


このように、1つの材料が発生すると、関連銘柄全体に買いが波及するという特徴があります。もちろん、材料は良いものばかりとは限りません。悪材料が出た場合は次のように関連銘柄全体が売られることになります。


新型コロナウイルスの感染拡大の初期段階といえる2020年2月25日、 千葉県が県内でこれまで新型コロナウイルスを発症した人のうちの3人が、同県市川市のスポーツジム「エースアクシスコア市川店」を利用していたと発表しました。


この発表を受けて、スポーツジムの利用者減を懸念した売りが広がり、RIZAPグループ(2928)、ルネサンス(2378)、セントラルスポーツ(4801)、トゥエンティーフォーセブン(7074)、東祥(8920)など、フィットネス関連が大きく売られることになりました。



テーマ株の注意点

「話題になっているテーマ株を購入してみたがそこが天井だった」ということがよくありますので注意が必要です。


ウクライナ危機を背景としたエネルギー価格の高騰、そしてそれに伴う電気料金の大幅な上昇などにより、原子力発電関連銘柄に注目が集まっています。

三菱重工業<7011.T>は原子力発電関連銘柄として注目されますが、2022年9月29日に、安全性を高めた新型原子炉「革新軽水炉」を関西電力など電力会社4社と共同開発すると発表しました。今後の新型原子炉の進展が注目されます。


では、三菱重工の株価を確認してみましょう。週足チャートをみると株価上昇は2021年12月ごろから始まっています。日経平均株価が下落または横ばいなのに対して、三菱重工の株価はかなり強い動きになっており、2021年12月からほぼ倍となっています。



【三菱重工の週足チャート】


【日経平均株価の週足チャート】



もちろんここからさらに三菱重工が上昇する可能性もありますが、2021年のうちに買っておけばよかったと考える人は多いでしょう。また、三菱重工のような大型株であれば、出来高が極端に少なくなることはありませんが、小型株は旬を過ぎると出来高が急減し、それに合わせるように株価が急落することがよくあります。テーマ株は買い時、売り時ともに難しいといえますので、その点も注意してください。



テーマ株の買い時・売り時は?

相場格言「噂で買って事実で売る」というものがありますが、テーマ株については「話題になっていない時に買って話題になったら売る」のがよいと考えます。


イメージとしては、餌をまいておいてじっと獲物を待つという感じです。テーマの多くは定期的に注目されます。そのタイミングを待つことになりますので、投資期間は中期~長期がよいでしょう。


ノーベル賞関連銘柄であればノーベル賞の発表時期に注目が集まります。例えば、ペロブスカイト型太陽電池はノーベル賞の有力候補とされ、毎年話題にあがっています。なお、東芝(6502)やパナソニックホールディングス(6752.)、ホシデン(6804)などがペロブスカイト型太陽電池の開発を行っています。

実際にノーベル賞をとれるかではなく、これら銘柄を仕込んでおき、注目が集まったところで売却することを狙うということです。



最後に

多くの人が注目しているときは、株価にも動き出ており、それに惹かれる気持ちはよくわかります。損切りも行える投資に慣れた人はそこで勝負するのもいいでしょうが、あまり投資経験のない人がそこに手を出すとやけどすることが多いです。


相場格言に「人の行く裏に道あり花の山」というものがあります。「人の見てないうちにこっそりと仕込んでおく」ということは、弱者の戦略のようにみえて王道を行く必勝法であるといえます。

期待は高いが話題になっていないテーマを探すことを日頃から狙うクセをつけるようにしてください。


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第35回 β値の上位下位を確認 ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンどっちを選ぶ?
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第32回「相場急落 銘柄見直しなら低ベータ銘柄」
第31回 増益・PER10倍以下・PBR0.6倍以下
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第27回「増収・増益で低PER・低PBRの銘柄を探す」
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【いまから銘柄選び】第7回「高配当株の注意点」
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【いまから銘柄選び】第5回「スクリーニングに挑戦しよう~守りながら攻める:低β戦略~」
【いまから銘柄選び】第4回「スクリーニングに挑戦しよう~10万円以下~」
【いまから銘柄選び】第3回「テーマ株に挑戦」
【いまから銘柄選び】第2回「スクリーニングに挑戦しよう~配当利回り編~」
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日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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