株に投資してみたいものの、どの株を買ってよいのかわからないという人は多いと思います。【いまから銘柄選び】では、投資を始めようと考える人たちに向けて、様々なアプローチの銘柄選びの方法をご紹介します。
株に投資する際に、自分の興味のあることを起点に考えることは有効です。おしゃれが好きならアパレル関連株に、クルマ好きなら自動車関連株に、旅行好きなら旅行関連株にといった感じです。NISAにおいて投資対象に迷う場合でも、この点を大事にすることをお勧めします。
今回はゲーム関連株にスポットを当てます。上場しているゲーム関連株は多くありますが、ゲーム関連株として真っ先に思い浮かべる人が多いと思われる任天堂(7974)を取りあげます。
任天堂の2023年の動き
任天堂の2023年の株価ですが、2月に急落、その後も3月にかけて軟調な展開が続きました。
2月の急落は業績の下方修正が要因です。同社は2月7日に、23.3期通期の連結営業利益予想を従来の5000億円から4800億円(前期比19.0%減)に引き下げると発表しました。これはNintendo Switchのハードウェアの販売数量を1900万台から1800万台に、ソフトウェアの販売数量を2億1000万本から2億0500万本に下方修正したことが要因です。
Nintendo Switchのハードウェアの販売数量の引き下げは、2023年に入り、PlayStation5(PS5)の供給が正常化したことも影響したと考えられます。PS5は2月(2023年1月30日~2月26日の4週分)に36.7万台の販売となり、発売以降初めて月間ハード販売トップを獲得しました。
競合といえるPS5の販売が伸びたことで、Nintendo Switchの販売が伸び悩むのではないかとの懸念が台頭しました。これが3月までの下落につながったと考えられます。
しかし、4月から流れが変わります。これは「映画」と「ゼルダ」が要因と考えられます。4月に入り、映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の北米でのオープニング興行収入が1億4600万ドル(約193億円)となったと報じられました。4月24日には全世界興行収入が1000億円を突破しています。予想外といえるほどの映画の大ヒットが株価を押し上げることとなりました。
さらに、5月12日に「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」を発売。発売後3日間で世界累計販売本数が1000万本(うち国内販売本数224万本)を突破するなど、大ヒットとなりました。
「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」については、発売前から売れて当然とみられていましたが、しっかりと結果を出すところはさすが任天堂といえます。
このように「映画」と「ゼルダ」の効果で株価は大きく上昇。6月29日には年初来高値6640円をつけました。
新NISAに向けて
Nintendo Switchは発売から6年が経過していますので、そろそろ次世代ゲーム機の発表があるのではないかとみられています。
2023年8月には、一部報道で早ければ2024年クリスマスに次世代ゲーム機が発売される可能性があると伝わりました。真偽のほどは不明ですが、クリスマス商戦にぶつけてくる可能性は十分あります。
また、同社は2027年に本社の隣にゲーム開発向けビルを予定していますが、規模の拡大を検討していることが報じられました。日本経済新聞が報じたところによると、長期的な開発人員の増加を見越して計画を拡張するとのことです。なお、これにより完成は2028年以降にずれ込む見通しだとしています。
安定して大ヒットゲームを作るためには、しっかりと開発体制を整えることが重要です。将来を見越した投資を行っていることは評価できます。
次世代ゲーム機への期待が高まっており、将来を見据えた投資をしっかりと行っている同社に、2024年1月から始まる新NISAの枠を使ってみるのもよいでしょう。2023年6月には6640円まで株価は上昇しています。2007年11月につけた上場来高値7320円の更新は十分視野に入っていると思われます。