株に投資してみたいが、どの株を買ってよいのかわからないという人は多いと思います。【いまから銘柄選び】では、投資を始めようと考える人たちに向けて、様々なアプローチの銘柄選びの方法をご紹介します。
第6回は銘柄スクリーニングを使用して、「平均への回帰の動き」で利益を得ることを目指します。「平均への回帰の動き」とは、平均から乖離している場合において平均に戻ろうとする動きをいいます。今回はこの動きに着目します。
最重要項目(乖離率)の設定
今回もトレーダーズ・ウェブの銘柄スクリーニングを使用します。
トレーダーズ・ウェブの銘柄スクリーニングのページでは、以下のように37の項目があります。今回は移動平均線から株価が大幅に下方乖離している銘柄を探しますので、「16:乖離率(100日)」が一番重要な項目になります。なお、今回は25日移動平均線ではなく、もう少し期間の長い100日移動平均線との乖離でみていきます。
以下は「16:乖離率(100日)」です。左のチェックボックスにチェックし、-10%以下と入力しました。さらに、右のチェックボックスもチェックを入れています。右のチェックボックスはスクリーニング結果に表示したい場合に選択します。
HV(ヒストリカル・ボラティリティ)の設定
次に、値動きの大きいものを選別します。「10:HV(ヒストリカル・ボラティリティ)」を50以上と設定します。
ヒストリカル・ボラティリティについては、コラム【知っておきたいリスクの話】第1回「価格変動の観点から初心者が避けるべき株」で解説しています。
上記のコラムでは投資の初心者はボラティリティの高い銘柄にはなるべく投資しないほうがよいとしていますが、今回のスクリーニングではリスクをとって値幅の出やすい銘柄を選出し、リターンを狙います。
時価総額と市場の設定
最後に、「28:時価総額」と「1:市場」を設定します。時価総額は100億円~500億円とします。これは、ある程度値幅が出ることが期待される小型株を中心とするためです。 なお、下限を設けて低位株などは排除しています。
「1:市場」は東証プライム・東証スタンダード・東証グロースを対象とします。
スクリーニング結果
今回は17銘柄(2022/11/17更新時点)が抽出されました。以下は抽出された17銘柄を下方乖離の大きい順に並べたものです。
1位はアンジェス(4563)となりました。同社は、2022年9月に新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けDNAワクチンの開発を中止することや、第三者割当による新株予約権の発行を発表し、その後株価は下落トレンドとなっています。
2位のSpeee(4499)は、2022年11月14日に今期(23.9期)の営業利益が大幅減益になる予想であると発表し、株価は大きく下げています。
3位のヤプリ(4168)は、2022年11月11日に発表した22.12期3Q累計の営業損益が赤字拡大となったことが嫌気され株価が大きく下げています。
このスクリーニングでは業績が悪化している銘柄が多くなる傾向がありますので、ハイリスクであることは認識しておいてください。 とはいえ、安値圏で大きな動きが出てきた銘柄を抽出しているので、下に振れたものは売られすぎの反動による強いリバウンド、上に大きく振れたものは大底脱出による上昇が期待できる銘柄群であるといえます。
最後に
今回のスクリーングは抽出された銘柄からさらに選別することが非常に重要ですので、初心者向けとはいいづらいです。ただ、選別の過程で得るものは多いと思います。
「なぜ株価が下がっているのか?」を考えることは投資の目利きを確実に向上させます。理由をしっかり調べられるようになれば、株式投資の初心者は卒業といってもよいでしょう。銘柄探しはもちろんですが、脱初心者をめざしたスキルアップのためにもこのスクリーニングを活用していただければと思います。