株に投資してみたいものの、どの株を買ってよいのかわからないという人は多いと思います。【いまから銘柄選び】では、投資を始めようと考える人たちに向けて、様々なアプローチの銘柄選びの方法をご紹介します。
今回は、2024年下期(7月~12月)のIPOで初値が公開価格を上回ったものの、その後の株価が初値を大きく割り込んでいる銘柄を3銘柄ピックアップしました。
2025年に入り、東証グロース250指数などは上昇していますので、これらを出遅れ銘柄とみなして今後株価上昇が期待できるかなどについてみてみたいと思います。
IPO銘柄 1.フォルシア(304A)
公開価格1750円 初値3640円 株価2089円(2024年2月27日終値)
検索技術を基にしたシステム開発・サービス提供ならびにコンサルティングを行うフォルシアは2024年12月26日に東証グロース上場しました。
株価低迷の要因は、2025年1月14日に発表した25.2期3Q累計の営業利益が1.3億円となり、通期の会社予想に対しての進ちょく率が66.3%と遅れていることが嫌気されたと考えられます。
同社は、決算説明会資料において「通期予算に対する営業利益の進ちょく率は3Q末時点で75%を切っているが、4Qでの積み上げにより通期予算は達成する見込み」としています。4Qで巻き返しができ、さらに来期の会社予想がしっかりとした増益予想となれば、株価の反転上昇が期待できます。
【フォルシアの日足チャート】
IPO銘柄 2. アスア(246A)
公開価格680円 初値1004円 株価712円(2024年2月27日終値)
物流会社を対象とした安全活動などに関するコンサルティング、通信機器の販売、および、CRM(顧客関係管理)の開発などを行うアスアは、2024年9月26日に東証グロースに上場しました。
株価低迷の要因ですが、物流の2024年問題を追い風に成長する企業イメージなものの、実際にはそれほど成長しているわけではないので、見切り売りが続いたようです。
業績水準は低い(25.6期上期の営業利益は7300万円)ものの、コンサルティング事業を中心にサービスが拡大した事により、 売上高、営業利益ともに上期として過去最高を更新しています。
また、通期(25.6期)でも主力事業のコンサルティング事業を中心としたサービスの拡大により、売上高(会社予想は14億3100万円)、営業利益(会社予想は2億0500万円)ともに過去最高を見込んでいます。
同社については上期の営業利益の進ちょくがやや遅れているのが気になります。一方で、上期において過去最高益となるなど前年同期との比較では好調となっています。下期に巻き返せれば、株価上昇が期待できます。まずは5月に発表されるであろう25.6期3Q累計の決算が注目されます。
【アスアの日足チャート】
IPO銘柄 3.Hmcomm(265A)
公開価格850円 初値1128円 株価879円(2024年2月27日終値)
音声認識処理、異音検知・自然言語解析処理を用いたプロダクトの提供などを行うHmcommは、2024年10月28日に東証グロースに上場しました。
同社は2024年11月14日に、24.12期3Q累計の経常利益が1億1600万円だったと発表しました。24.12期通期の経常利益予想9500万円を3Q時点で超過したことから、この決算発表を受けて株価は大きく上昇しました。
3Q累計の決算で期待が高まりすぎたこともあり、2025年2月14日の通期決算を受けて株価は急落となりました。
内容を確認すると、24.12期通期の経常利益が1億0300万円となり、4Qは赤字となりました。ただ3Qの決算発表時に、「4Qに上場関連費用、外形標準課税、その他翌期に向けた戦略的支出の計上などを予定している」とありましたので、想定できないことではなかったと思います。
25.12期の経常利益予想は1億4300万円(前期比39%増)となっています。大幅な増益となる見込みですが、24.12期4Qの赤字がよほど投資家にとってショックだったのか、株価は公開価格近辺まで下落しています。5月に発表されるであろう25.12期1Qの決算がしっかりとした着地となれば、株価に対する評価は変わると考えらえます。
【Hmcommの日足チャート】
最後に
今回は、2024年下期のIPOで初値が公開価格を上回ったものの、その後の株価が初値を大きく割り込んでいる銘柄を紹介しました。このまま出遅れたままになるのか、それとも決算発表などをきっかけに切り返しの動きとなるのか、今後の株価推移に注目したいと思います。