株に投資してみたいものの、どの株を買ってよいのかわからないという人は多いと思います。【いまから銘柄選び】では、投資を始めようと考える人たちに向けて、様々なアプローチの銘柄選びの方法をご紹介します。
今回は、直近2年以内に上場した銘柄で足元の株価(2024年6月6日)が公開価格を下回っている銘柄をみていきます。以下は公開価格比が低い順に20社をランキングしたものです。
足もとの株価が公開価格を大きく下回っているということは、業績が振るわないなど何かしらの悪材料がある可能性が高いので注意が必要です。ファンダメンタル分析が必須であるなど銘柄を選別する難易度は高めですが、そのなかには株価が大化けする「お宝銘柄」が眠っているかもしれません。では、今回は上記のランキングの上位3社についてみていきたいと思います。
公開価格比下落率1位「ブリーチ(9162)」
下落率1位は、成果報酬型の集客支援を展開するブリーチ。同社の特徴は、初期費用やコンサルティング料を受領せず、実現したマーケティング効果に応じて報酬を受け取るというものです。
23.6期の営業利益は21.7億円(前期比2.1倍)と好調でしたが、直近の決算である24.6期3Qの営業利益は2600万円の赤字となっています。なお、24.6期の会社予想の営業利益は2.0億円の赤字~2.5億円の黒字(レンジ形式)となっており、レンジの上限だったとしても前期比で大幅な減益になる見込みです。
このようにブリーチに関しては、24.6期の業績が低迷しています。要因は、広告投資の効率性を表す指標であるROAS(売上高÷広告宣伝費)が下落したこと、および新たなマーケティング施策に向けた投資や人材採用教育成投資の拡大などとしています。
本格的な株価の回復にはROASの上昇や、投資がしっかりと収益に結びつく必要があります。業績回復の兆しが出てくれば株価の反転も期待できますが、もう少し業績推移をみなければ、その確信は持てないでしょう。いまのところは投資対象とするのは難しいと考えます。
公開価格比下落率2位「キューブ(7112)」
「MARK&LONA」など高級ゴルフウェアの企画・販売を行っているキューブですが、同社も業績が低迷しています。
2022年10月7日に上場した同社ですが、22.12期の営業利益は9.1億円(前期比32%増)と好調な着地となりましたが、23.12期の営業利益は2.9億円(前期比68%減)となりました。
大幅減益の要因は、採用活動経費などの業務委託費用、給料手当、役員報酬の増加などにより販管費が増加したことや、自社商品不良の発生に伴い商品の自主回収を行っていることにより商品保証引当金繰入額を計上したことなどとしています。
24.12期の会社予想の営業利益は2.4億円(前期比18%減)となっています。株価の反転上昇のためには、増益基調への転換が必要でしょう。月次の売り上げ推移をみながら、業績の回復を待つ段階であり、こちらも投資対象とするのは難しいと考えます。
公開価格比下落率3位「Atlas Technologies(9563)」
フィンテック領域のコンサルティングとプロジェクト実行支援サービスを提供するAtlas Technologiesですが、こちらも業績が低迷しています。
2022年10月26日に上場した同社ですが、22.12期の営業利益は6.3億円(前期比33%増)と好調な着地となりましたが、23.12期の営業利益は1.3億円と大幅な減益となっています。そして、24.12期の会社予想の営業損益は3.8億円の赤字を見込んでいます。
赤字転落の要因としては、高付加価値を提供するプロジェクトを獲得できるコンサルタントの増加、人員増加によるプロジェクト需要獲得の加速をめざすため戦略的な人材投資を予想費用として織り込んだためとしています。
投資がしっかりと収益に結び付けば、来期のV字回復が期待できますが、現段階では不透明です。投資するのであれば、25.12期の1Q、2Qの業績推移を確認し、業績の回復を確認したいところです。そうすればリスクをかなり低減できます。どちらにしろ、今の段階で投資対象とするのは難しいと考えます。
最後に
今回、3社をみてみましたが、どれも業績面に不安がありました。ただ、回復の兆しをとらえることができれば、「お宝銘柄」に変貌する可能性があります。
このような銘柄については「業績低迷が、本質的なものなのか、それとも一時的なものなのかを業績推移をみながら判断し、チャンスを虎視眈々と狙う」という姿勢が重要です。いまはまだ眠っている「お宝銘柄」の探索にぜひチャレンジしてみてください。