株に投資してみたいものの、どの株を買ってよいのかわからないという人は多いと思います。【いまから銘柄選び】では、投資を始めようと考える人たちに向けて、様々なアプローチの銘柄選びの方法をご紹介します。
今回は、大きく下げている銘柄をみてみます。具体的には、2024年12月18日時点において、東証グロースに上場銘柄する時価総額100億~1000億円の銘柄を対象とし、100日移動平均線から下方に10%以上乖離している値動きの大きい銘柄(ヒストリカル・ボラティリティ50以上)という条件で抽出しました。
結果確認
今回、以下の8銘柄が抽出されました。
では具体的に見ていきます。
・宇宙関連銘柄
今回、ispace<9348>、QPS研究所<5595>、アストロスケールホールディングス<186A>という宇宙関連銘柄が抽出されました。
ispaceとアストロスケールは今期も赤字が継続する見通しとなっています。赤字が続けば資金調達が必要になると想定され、国内の金利上昇は逆風となります。日銀が2024年3 月の金融政策決定会合でマイナス金利を解除、7月には利上げを決定したことが逆風になっていると考えられます。
QPS研究所は前期は営業黒字での着地となり、今期も営業黒字予想となっています。赤字予想のispace、アストロスケールと異なり株価下落は別の要因とみられます。同社は、昨年打ち上げた6、5号機が立て続けにトラブルに見舞われたことで、技術的な信頼性に疑問符が付いた状態になっています。これが株価低迷の要因と想定されます。
・バイオ・ベンチャー
Chordia Therapeutics<190A>、クオリプス<4894>については、どちらも大きな悪材料は確認できていません。今夏にバイオ・ベンチャー各社に資金が向かい、両社の株価も大きく上昇していたことから、その反動が出ていると想定されます。
・その他
AIを活用したグローバルでの小売店販促支援事業が主力のデータセクション<3905>は、データセンター関連として資金が向かっていました。その反動もあり、11月中旬から下落トレンドに転換。12月9日に堺AIデータセンター構築に向けた協議を終了したと発表し、株価は一段安となっています。
さい帯血バンク最大手のステムセル研究所<7096>は、11月12日に25.3期上期の決算を発表。営業利益は2.6億円(前年同期比20%増)と堅調な着地となりました。
悪くない着地だと思うのですが期待が高すぎたのか、決算発表を受けた株価は大幅安となりました。その後いったん切り返しましたが、11月21日から変わらずを挟み18日続落となりました。決算発表前に1700円台だった株価は1200円台まで下落しています。
オキサイド<6521>は、光学分野における酸化物単結晶、光部品、レーザー光源、計測装置などの開発・製造・販売を行っています。
オキサイドは8月2日に大和証券を割当先とする第三者割当による第8回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行を行うと発表しました。発行数は2万2000個(潜在株式数は220万株)で、発行済み株式総数に対する希薄化率は最大で20.03%。希薄化率が大きかったこともあり、その後の株価は低迷しています。12月2日に開示された資料では未行使の新株予約権は2万1038個となっており、行使が進んでいないことも確認できます。
最後に
株価が下落する場合、理由があることがほとんどです。今回取り上げた銘柄も理由があるものが多かったので、株価が下落しているからといって安易に手を出すのはリスクが高いと考えます。
ただ、ステムセル研究所は2024年12月17日には2024年8月5日につけた上場来安値1213円に迫る1215円まで下落しています。決算がそれほど悪くなかったことを考えると、ここまで売られるのは行き過ぎのように感じます。
今後切り返しの動きになるのか、それともこちらが認知していない何かしらの悪材料が出るのか、株価動向などに注目していきたいと思います。