株に投資してみたいが、どの株を買ってよいのかわからないという人は多いと思います。【いまから銘柄選び】では、投資を始めようと考える人たちに向けて、様々なアプローチの銘柄選びの方法をご紹介します。
第5回は銘柄スクリーニングを使用して「守りながら攻める」をコンセプトに銘柄を探していきます。今回採用するのは「低β(ベータ)戦略」です。
「低β戦略」とは
「低β戦略」はβ値(ベータ値)を軸としてスクリーニングを行います。
β値は、1より大きければそのβ値を算出するときに使用した株価指数(今回はTOPIX)よりもリスクが高い(ハイリスク・ハイリターン)となり、 1より小さければβ値を算出するときに使用した株価指数よりもリスクが低い(ローリスク・ローリターン)と判断します。
β値(ベータ値)については、コラム【知っておきたいリスクの話】第2回「TOPIXを基準に保有株のリスクを知る」において紹介していますので、そちらもご参照ください。
金融引き締めにより世界的に景気後退懸念が台頭していますが、このような状況だと株式投資はためらわれるものです。キャッシュ・ポジション(現預金の保有割合)を高めるというのも一つの手ですが、インフレ環境では現預金の価値が目減りしてしまいます。このような状況にぴったりなのが、「低β戦略」です。
「低β戦略」では、β値が1より小さい銘柄を保有して守りを固めつつ、それらのなかでも業績好調で株価上昇が狙える(攻める)銘柄への投資をめざします。
最重要項目(β)の設定
今回もトレーダーズ・ウェブの銘柄スクリーニングを使用します。
トレーダーズ・ウェブの銘柄スクリーニングのページでは、以下のように37の項目があります。今回はβ値の小さい銘柄を探しますので、「09:β」が一番重要な項目になります。
以下は「09:β」です。左のチェックボックスにチェックし、0.6以下と入力しました。さらに、右のチェックボックスもチェックを入れています。右のチェックボックスはスクリーニング結果に表示したい場合に選択します。
そのほかの設定項目
「09:β」以外に時価総額や経常増益率なども設定します。まとめると以下となります。
TOPIXで算出したβ値を使用していますので、市場は「東証プライム」とします。小型株はβ値の信頼性を表す決定係数が低いものが多いため、時価総額の基準も入れます。また、業績に関する項目として、「35:売上高成長率」や「36:経常増益率」も入れました。
スクリーニング結果
今回は27銘柄(2022/11/2更新時点)が抽出されました。以下は抽出された27銘柄をβ値の低い順に並べたものです。なお、1位の日立金属(5486)はTOBにより上場廃止となる予定ですので、選択肢からは外すようにしてください。
JR九州(9142)や阪急阪神ホールディングス(9042)など陸運が多く入っています。これらは一般にディフェンシブとされる銘柄ですね。一方、富士通ゼネラル(6755)やISID(4812)、ネクステージ(3186)が入ってきたのはやや意外でした。
最後に
相場の先行きが不透明な状況では、「大儲けはできなくとも大損もしない」というポジションをとることが有効と考えます。ぜひこのスクリーニングを活用し「守りながら攻める」を実践していただければと思います。