いまから銘柄選び

第31回 増益・PER10倍以下・PBR0.6倍以下

株に投資してみたいものの、どの株を買ってよいのかわからないという人は多いと思います。【いまから銘柄選び】では、投資を始めようと考える人たちに向けて、様々なアプローチの銘柄選びの方法をご紹介します。


今回は、増益ながらPERは10倍以下、 PBRは0.6倍以下(0.5倍以下だと抽出銘柄数が少なかったため0.6倍以下としています)の銘柄をスクリーニングで探してみたいと思います。なお、今回もトレーダーズ・ウェブの銘柄スクリーニングを使用します。



定番スクリーニングを活用

トレーダーズ・ウェブの銘柄スクリーニングには自動で条件が設定される定番スクリーニングがあります。今回は、そのなかの「割安」を基本として、そこから一部の条件を追加、修正したいと思います。




上記の設定が終わると、以下のように3つの項目(01:市場、29:PER、36:経常増益率)が自動で設定されます。


「01:市場」は東証プライム、東証スタンダード、東証グロースと設定されます。


「29:PER」は10倍以下と設定されます。


「36:経常増益率」は5%以上と設定されます。


今回は、「01:市場」について、変更をクリックして、東証プライムのみに変更します。


そして、「30:PBR」の条件を追加してください。「30:PBR」ですが、まず左と右の両方チェックを入れて、その後に0.6倍以下と入力して下さい。


この条件でスクリーニングを行うと2024/7/2更新時点では30銘柄が抽出されていました。以下は抽出された銘柄をPERの低い順に並べたものです。




では、抽出された銘柄の上位3社の業績などを簡単にみていきます。


1位は、業界中位で印刷・情報用紙が主体の三菱製紙(3864)

5月に発表した24.3期通期の連結純利損益は41.7億円の黒字(前の期は5.7億円の赤字)となりました。原燃料価格高騰に対応した製品価格改定やコストダウン効果が寄与したとのことです。

25.3期通期の連結純利益予想は80.0億円(前期比91.8%増)と、大幅な増益を見込んでいます。

株価は、6月11日に年初来高値である864円まで上昇しましたが、足もとでは700円台半ばで推移しています。


2位は、無機・有機顔料および加工顔料などの製造・販売を行う大日精化工業(4116)

5月に発表した24.3期通期の連結営業利益は45.5億円(前の期比72.7%増)と好調な着地となりました。販売価格の改定を進めたことが寄与したとのことです。

25.3期の通期の連結営業利益予想は52.0億円(前期比14.3%増)と増益を見込んでいます。原材料価格は高止まりの見込みであるものの、販売数量の増加および販売価格の改定を進めるとしています。

株価は、6月25日に年初来高値である3520円まで上昇。足もとでは3300~3400円台で推移しています。


3位は、段ボール製品加工の専業首位のトーモク(3946)

5月に発表した24.3期通期の連結営業利益は80.6億円(前の期比9.1%増)と増益での着地となりました。段ボール事業において、主力の加工食品向け販売量が前年上回ったことや、価格適正化が奏功したとのことです。

25.3期の通期の連結営業利益予想は103.0億円(前期比27.8%増)と大幅な増益を見込んでいます。段ボール事業において、引き続き製品の安定供給のための価格適正化を推進するとともに、Eコマース(EC)向け片面段ボール封筒の本格稼働を見込んでいます。

株価は、5月9日に年初来高値である2960円まで上昇。足もとの株価も2800円台と高値圏で推移しています。



最後に

7月1日にTOPIXが終値ベースで34年半ぶりの高値を付けるなど、全体相場は堅調に推移しています。割安放置されている銘柄は少なくなっていますが、今回抽出された銘柄はバリュエーション面ではまだまだ割安と判断できます。上値が余地あると見込んで投資してみるのも面白いと考えます。



この連載の一覧
第35回 β値の上位下位を確認 ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンどっちを選ぶ?
第34回「急落のチャンスを狙いたい 大型優良株を再確認」
第32回「相場急落 銘柄見直しなら低ベータ銘柄」
第31回 増益・PER10倍以下・PBR0.6倍以下
第30回 大型優良かつ低リスクの銘柄を探す
第28回「公開価格割れの銘柄からお宝を探す」
第27回「増収・増益で低PER・低PBRの銘柄を探す」
第26回 設定を自動入力 10万円以下で投資できる増収増益銘柄をスクリーニングで確認
第25回「設定を自動入力 スクリーニングで高配当株を確認」
第24回「設定を自動入力 定番スクリーニングで大型優良株を確認」
いまから銘柄選び 第23回 新NISAで狙いたい 高成長銘柄
第22回 新NISAで狙いたい 大幅経常増益で低PER銘柄
第21回 配当利回りが魅力~早稲田学習研究会~
第20回 今後は円高が進行? 円高メリット銘柄~「ニトリHD」~
第19回「10万円で買える高配当銘柄」
第18回「新NISAの成長投資枠に最適? グロース株の逆襲に備える」
第17回「大きく下げた銘柄にチャンスあり? 平均への回帰」
第16回「お宝発見? PBR1倍割れの高配当株~結果確認と再抽出~」
第15回「新NISAに向けて 好きなものに投資しよう~ゲーム関連株(任天堂)~」
第14回「お宝発見? PBR1倍割れの高配当株」
第13回「スクリーニングに挑戦しよう~まだまだある!配当利回り5%超銘柄」
第12回「スクリーニングに挑戦しよう~株価も業績も上向き~」
第11回「スクリーニングに挑戦しよう~低PBRが話題です~」
第10回「スクリーニングに挑戦しよう~成長株発見~」
第9回「旬な話題に敏感な企業? ChatGPTやNFT」
第8回「スクリーニングで発見~ローリスク高配当株~」
【いまから銘柄選び】第7回「高配当株の注意点」
【いまから銘柄選び】第6回「スクリーニングに挑戦しよう~大きく下げた株にチャンスあり?~」
【いまから銘柄選び】第5回「スクリーニングに挑戦しよう~守りながら攻める:低β戦略~」
【いまから銘柄選び】第4回「スクリーニングに挑戦しよう~10万円以下~」
【いまから銘柄選び】第3回「テーマ株に挑戦」
【いまから銘柄選び】第2回「スクリーニングに挑戦しよう~配当利回り編~」
【いまから銘柄選び】第1回「身近な会社から投資先を選ぶ」

日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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