いまから銘柄選び

第16回「お宝発見? PBR1倍割れの高配当株~結果確認と再抽出~」

株に投資してみたいものの、どの株を買ってよいのかわからないという人は多いと思います。【いまから銘柄選び】では、投資を始めようと考える人たちに向けて、様々なアプローチの銘柄選びの方法をご紹介します。


今回は2023年7月15日に掲載した、【いまから銘柄選び 第14回「お宝発見? PBR1倍割れの高配当株」】で行ったスクリーニングと同条件で銘柄を抽出し、その変化を確認してみます。



前回の項目設定

以下のように4つの項目(01:市場、28:時価総額、30:PBR、34:配当利回り)を設定しました。


「01:市場」は東証プライムとします。


「28:時価総額」は1000億円以上とします。


「30:PBR」は0.7倍以下とします。


「34:配当利回り」は4%以上とします。


このスクリーニングの結果、2023/7/13更新時点では以下の30銘柄が抽出されていました。




では、同条件で再度スクリーニングを行ってみます。その結果、2023/9/12更新時点では以下の6銘柄が抽出されていました。今回もPBRの低い順に並べています。



前回は30銘柄抽出されましたが、今回は6銘柄まで減少しました。この主因は、バリュー株物色の流れが続いており、株価が上昇したことと考えられます。日本銀行の政策変更への期待もあり、銀行株はとくに上昇が顕著となっています。


前回1位だった十六フィナンシャルグループ(7380)の株価は7月13日終値で3100円でしたが、9月12日の終値は3990円と大幅に上昇しています。

前回2位だったあいちフィナンシャルグループ(7389)の株価は7月13日終値で2223円でしたが、9月12日の終値は2668円まで上昇。前回3位だった第四北越フィナンシャルグループ(7327)の株価は7月13日終値で3155円でしたが、9月12日の終値は3950円と大幅な上昇となっています。



条件を緩和しよう

スクリーニング結果の銘柄数が少ない場合、そのスクリーニングをあきらめるのではなく、条件を緩和して銘柄を増やしてみるべきです。今回は以下の2点を変更してみます。


「30:PBR」は0.8倍以下とします。


「34:配当利回り」は3.5%以上とします。


この条件でスクリーニングを行った結果、2023/9/12更新時点では以下の34銘柄が抽出されていました。



前回のスクリーニング結果と銘柄の多くがかぶっていますが、三菱マテリアル(5711)やAGC(5201)、旭化成(3407)といった有名企業が新たに抽出されています。なお、この3社は直近の決算発表後に株価が急落していました。以下は発表の主な内容です。


三菱マテリアルは、8月9日に発表した24.3期1Q(4-6月)の連結営業利益が37.9億円(前年同期比72.8%減)と大幅な減益となりました。

AGCは8月2日に、23.12期通期の連結営業利益予想(IFRS)を従来の1900億円から1500億円(前期比18.5%減)に引き下げると発表。併せて発表した23.12期上期(1-6月)の連結営業利益は643.4億円(前年同期比44.2%減)と大幅な減益となっています。

旭化成は8月3日12時30分に、24.3期上期(4-9月)の連結純利益予想を従来の280.0億円から220.0億円(前期比57.5%減)に引き下げると発表。併せて発表した4.3期1Q(4-6月)の連結純利益は95.9億円(前年同期比67.8%減)と大幅な減益となっています。



最後に

今回のように似た条件で再検索する場合、銘柄の変化に着目してみるのも有効です。ただ、業績悪化による株価下落などの要因で新たに抽出されることになった銘柄が含まれていることもありますので、注意が必要となります。スクリーニングはあくまでも「候補の抽出」が目的です。「増益を見込んでいるか」などの基本的な内容については実際に投資する前に必ず確認するようにしてください。


この連載の一覧
第35回 β値の上位下位を確認 ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンどっちを選ぶ?
第34回「急落のチャンスを狙いたい 大型優良株を再確認」
第32回「相場急落 銘柄見直しなら低ベータ銘柄」
第31回 増益・PER10倍以下・PBR0.6倍以下
第30回 大型優良かつ低リスクの銘柄を探す
第28回「公開価格割れの銘柄からお宝を探す」
第27回「増収・増益で低PER・低PBRの銘柄を探す」
第26回 設定を自動入力 10万円以下で投資できる増収増益銘柄をスクリーニングで確認
第25回「設定を自動入力 スクリーニングで高配当株を確認」
第24回「設定を自動入力 定番スクリーニングで大型優良株を確認」
いまから銘柄選び 第23回 新NISAで狙いたい 高成長銘柄
第22回 新NISAで狙いたい 大幅経常増益で低PER銘柄
第21回 配当利回りが魅力~早稲田学習研究会~
第20回 今後は円高が進行? 円高メリット銘柄~「ニトリHD」~
第19回「10万円で買える高配当銘柄」
第18回「新NISAの成長投資枠に最適? グロース株の逆襲に備える」
第17回「大きく下げた銘柄にチャンスあり? 平均への回帰」
第16回「お宝発見? PBR1倍割れの高配当株~結果確認と再抽出~」
第15回「新NISAに向けて 好きなものに投資しよう~ゲーム関連株(任天堂)~」
第14回「お宝発見? PBR1倍割れの高配当株」
第13回「スクリーニングに挑戦しよう~まだまだある!配当利回り5%超銘柄」
第12回「スクリーニングに挑戦しよう~株価も業績も上向き~」
第11回「スクリーニングに挑戦しよう~低PBRが話題です~」
第10回「スクリーニングに挑戦しよう~成長株発見~」
第9回「旬な話題に敏感な企業? ChatGPTやNFT」
第8回「スクリーニングで発見~ローリスク高配当株~」
【いまから銘柄選び】第7回「高配当株の注意点」
【いまから銘柄選び】第6回「スクリーニングに挑戦しよう~大きく下げた株にチャンスあり?~」
【いまから銘柄選び】第5回「スクリーニングに挑戦しよう~守りながら攻める:低β戦略~」
【いまから銘柄選び】第4回「スクリーニングに挑戦しよう~10万円以下~」
【いまから銘柄選び】第3回「テーマ株に挑戦」
【いまから銘柄選び】第2回「スクリーニングに挑戦しよう~配当利回り編~」
【いまから銘柄選び】第1回「身近な会社から投資先を選ぶ」

日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

河賀 宏明の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております