いまから銘柄選び

第38回 大型優良株で配当利回りも悪くない3銘柄

株に投資してみたいものの、どの株を買ってよいのかわからないという人は多いと思います。【いまから銘柄選び】では、投資を始めようと考える人たちに向けて、様々なアプローチの銘柄選びの方法をご紹介します。


今回は、東証プライムに上場する銘柄から、「時価総額:5000億円以上」、 「売上高成長率:10%以上」、「 経常増益率:5%以上」、「配当利回り3%以上」という条件で抽出し、そのなかから3社を紹介します。


時価総額の大きい増収増益の銘柄であり、大型優良株といえます。さらに配当利回りも条件に加え、インカムゲインも狙います。なお、各種指標は2025年1月30日時点のものとなります。


野村ホールディングス(8604)

証券国内最大手の野村ホールディングスですが、今期(25.3期)は好調な業績推移となっています。2024年11月1日に発表した25.3期上期(4-9月)の連結最終利益は1673億円(前年同期比2.9倍)と大幅増益で着地。主要3部門(ウェルス・マネジメント部門、インベストメント・マネジメント部門、ホールセール部門)すべてで収益を伸ばしたことが寄与しました。


上記の決算を受けて株価は水準訂正の動きとなりました。直近は2025年2月5日を予定する25.3期3Q累計の決算発表に向けて一段高となっており、1000円を付ける場面もみられています。

PERは16倍程度、PBRは0.9倍程度、配当利回りは3.9%程度となっています。証券国内最大手という安心感もありますので長期で保有したい銘柄と考えます。


【野村HDの日足チャート2024/10/25~2025/1/29】



旭化成(3407)

総合化学の旭化成ですが、今期(25.3期)は好調な業績推移となっています。2024年11月1日12時30分に発表した25.3期上期(4-9月)の連結営業利益は1089億円(前年同期比94.9%増)と大幅増益で着地。マテリアルセグメントが、半導体・電子機器関連市場の好調な需要に伴う拡販や原燃料コストを踏まえた適正なプライシングなどにより大幅に改善したことなどが寄与しました。


上記の決算に併せて、25.3期通期の連結営業利益予想を従来の1800億円から1950億円(前期比38.5%増)に上方修正も発表。これらの発表を受けて株価は大きく上昇しました。ただ、勢いは続かずその後は軟調な展開となっており、足元は上期の決算発表前の水準まで戻しています。

PERは13倍程度、PBRは0.8倍程度、配当利回りは3.4%程度となっています。来期(26.3期)の市場コンセンサス(アナリスト予想の平均)においても増収増益が見込まれており、安定した業績推移が期待されます。なお、2025年2月5日に25.3期3Q累計の決算発表を予定していますので、長期保有を前提とするのであれば、購入は結果を確認してからでも遅くないと考えます。


【旭化成の日足チャート2024/10/25~2025/1/29】



三井住友フィナンシャルグループ(8316)

傘下に三井住友銀、SMBC日興証券などを有する金融グループの三井住友FGですが、今期(25.3期)は好調な業績推移となっています。2025年1月30日に発表した25.3期3Q累計(4-12月)の連結純利益は1兆1360億円(前年同期比43.3%増)と大幅増益で着地。国内ビジネスが増益をけん引したほか、株式等損益の上振れも寄与しました。


2025年1月24日には、日本銀行が無担保コールレート(短期金利)を0.5%程度(従来は0.25%程度)へ引き上げました。同日の植田日銀総裁の記者会見で、日銀の分析例として中立金利は名目では1.0~2.5%くらいの間で分布しているとの説明があったことから、さらなる利上げもあるとみられています。


PERは13倍程度、PBRは1.0倍程度、配当利回りは3.1%程度となっています。三井住友FGの株価ですが、週足でみると2022年から上昇トレンドが継続中です。さらなる利上げによる収益拡大に期待してみるのも面白いと考えます。


【三井住友FGの週足チャート2022/6/10~2025/1/24】


最後に

今回は大型優良で配当利回りも悪くない3社を紹介しました。短期ではなく中長期で保有したい銘柄であると考えますので、NISA口座で買い付ける銘柄としても選択肢に入ってくると考えます。



この連載の一覧
第38回 大型優良株で配当利回りも悪くない3銘柄
第37回「大きく下げた銘柄を買えるかを確認」
第36回 2025年に注目のゲーム関連株3銘柄
第35回 β値の上位下位を確認 ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンどっちを選ぶ?
第34回「急落のチャンスを狙いたい 大型優良株を再確認」
第32回「相場急落 銘柄見直しなら低ベータ銘柄」
第31回 増益・PER10倍以下・PBR0.6倍以下
第30回 大型優良かつ低リスクの銘柄を探す
第28回「公開価格割れの銘柄からお宝を探す」
第27回「増収・増益で低PER・低PBRの銘柄を探す」
第26回 設定を自動入力 10万円以下で投資できる増収増益銘柄をスクリーニングで確認
第25回「設定を自動入力 スクリーニングで高配当株を確認」
第24回「設定を自動入力 定番スクリーニングで大型優良株を確認」
いまから銘柄選び 第23回 新NISAで狙いたい 高成長銘柄
第22回 新NISAで狙いたい 大幅経常増益で低PER銘柄
第21回 配当利回りが魅力~早稲田学習研究会~
第20回 今後は円高が進行? 円高メリット銘柄~「ニトリHD」~
第19回「10万円で買える高配当銘柄」
第18回「新NISAの成長投資枠に最適? グロース株の逆襲に備える」
第17回「大きく下げた銘柄にチャンスあり? 平均への回帰」
第16回「お宝発見? PBR1倍割れの高配当株~結果確認と再抽出~」
第15回「新NISAに向けて 好きなものに投資しよう~ゲーム関連株(任天堂)~」
第14回「お宝発見? PBR1倍割れの高配当株」
第13回「スクリーニングに挑戦しよう~まだまだある!配当利回り5%超銘柄」
第12回「スクリーニングに挑戦しよう~株価も業績も上向き~」
第11回「スクリーニングに挑戦しよう~低PBRが話題です~」
第10回「スクリーニングに挑戦しよう~成長株発見~」
第9回「旬な話題に敏感な企業? ChatGPTやNFT」
第8回「スクリーニングで発見~ローリスク高配当株~」
【いまから銘柄選び】第7回「高配当株の注意点」
【いまから銘柄選び】第6回「スクリーニングに挑戦しよう~大きく下げた株にチャンスあり?~」
【いまから銘柄選び】第5回「スクリーニングに挑戦しよう~守りながら攻める:低β戦略~」
【いまから銘柄選び】第4回「スクリーニングに挑戦しよう~10万円以下~」
【いまから銘柄選び】第3回「テーマ株に挑戦」
【いまから銘柄選び】第2回「スクリーニングに挑戦しよう~配当利回り編~」
【いまから銘柄選び】第1回「身近な会社から投資先を選ぶ」

日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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