株に投資してみたいものの、どの株を買ってよいのかわからないという人は多いと思います。【いまから銘柄選び】では、投資を始めようと考える人たちに向けて、様々なアプローチの銘柄選びの方法をご紹介します。
2025年10月に入り日経平均株価は史上最高値更新が続いています。このような状況で「東証プライム市場に高配当利回り銘柄は残っているのか」を確認するため、東証プライム市場の配当利回り上位10位をみてみます。
なお、配当利回りは今期予想が出ている場合は今期予想を、今期予想が出ていない場合は前期実績により、算出されます。前期実績により算出されている場合、今期の配当利回りがそれを下回る可能性がありますので、ご注意ください。
東証プライム 配当利回り上位10位(2025年10月8日時点)
結果は、準大手・中堅証券会社が多くランクインしました。なお、証券会社は業績予想や配当予想を出していないことが多く、その場合、配当利回りは前期実績をもとに算出されていますので注意が必要です。では10社のうち1位~3位までを確認し、4位以降は証券会社以外についてみていきます。
1位の東洋証券は、26.3期の業績予想は開示していませんが、配当については26.3期の年間配当は50円(期末一括)、27.3期の年間配当は50円(期末一括)を予定しています。したがって、来期(27.3期)まで高い配当利回りが期待できます。
ただし、25.3期に実施した50円配当の配当性向(=1株当たり配当金÷1株当たり当期純利益× 100)は145.1%でした。一般に配当性向100%超えを継続することは難しいといえます。26.3期、27.3期の配当性向もかなり高い値になることが想定されるため、28.3期以降に50円配当が継続されるかは不透明といえます。
2位の極東証券は、26.3期の業績予想および配当予想を開示していません。なお、25.3期の年間配当は110円(中間50円、期末60円)でした。
同社の配当方針は「配当金額は、連結配当性70%および連結純資産配当率(DOE)2%の両基準で算出した数値のいずれか高い金額を基準とし、当社の自己資本の水準および中長期的な業績動向並びに株価等を総合的に判断し決定」となっています。
安定配当が見込まれるものの、業績動向によっては減配となる可能性もあるので、注意が必要です。
3位のエニグモは、2025年9月12日に大幅増配を発表し、年間配当予想は30円(期末一括)となっています。なお、その内訳は普通配当10円、BUYMA20周年記念配当20円です。
同社は構造改革期間(26.1期および 27.1期)について30円の配当を実施するとしています。そして28.1期以降の成長ステージ移行後には調整後 EPS40 円以上、当該配当性向 50%または、DOE5%のいずれか高い方の配当実現をめざすとしています。業績動向によっては28.1期以降に減配となる可能性がありますので、注意してください。
ここからは証券会社以外についてみていきます。
6位にはバリューコマースがランクイン。同社は23.12期から25.12期の配当目標を連結配当性向50%以上としています。ただし、来期(26.12期)以降の配当性向については未定となっています。来期(26.12期)以降に連結配当性向が低下する可能性もあるので、注意が必要です。
9位にはアイティメディアがランクイン。同社の年間配当予想は100円(期末一括)です。配当利回りは高いものの、26.3期の1株当たり利益予想は77.26円であり、連結配当性向は 129.4%となっています。
繰り返しますが、配当性向100%超えを継続することは一般に難しいといえますので、継続性が疑問視されます。
10位には東亜道路工業がランクイン。同社の26.3期の年間配当予想は90円(中間45円、期末45円)です。同社は2025年2月に株主還元方針の変更し、配当性向100%、DOE8%を目標としています。なお、25.3期の配当90円は配当性向100.9%、DOE8.1%でした。
26.3期(今期)の会社計画の連結純利益は41.0億円(前期並み)となっていますので、会社計画通りであれば、減配となる可能性は低く、引き続き高配当が見込まれます。
まとめ
今回「東証プライム市場に高配当利回り銘柄は残っているのか」を確認してみましたが、「残ってはいるものの継続性が疑問視されるケースが多い」という結果になりました。
基本的に配当は、長期保有しながら毎年安定的に受け取るものです。目先の配当利回りの高さにだけ着目すると、将来の減配、そして株価下落につながる可能性がありますので、銘柄選びは慎重に行うようにしてください。