1910年に74歳で亡くなった米国の作家マーク・トウェインは、ニューヨーク株式市場への警鐘を鳴らしていました。
「10月は、株式投機をする場合に際立って危険な月だ。その他に危険な月は、7月、1月、9月、4月、11月、5月、3月、12月、それに2月だ」
9月のニューヨーク・ダウ平均は、過去100年間で陰線が最多の58回、パフォーマンスも最悪となっていましたが、今年2022年9月もアノマリー通りに陰線▲2729.07ドル(始値:31454.58ドル・終値28725.51ドル)を記録しました。
10月は、過去100年間で陰線は41回に過ぎませんが、下落率トップ15の内、1929年の「暗黒の木曜日」や1987年の「ブラックマンデー」など8回が起きており、ウォール街にとっては危険な季節となっています。
10月のニューヨーク株式市場で歴史的な暴落が頻発している理由としては、個人所得の申告を控えて、配当の支払いなどを完了させるため、投資信託の決算期末が10月に集中していることやヘッジファンドの決算月となっていることが挙げられています。
NYダウの下落率トップ15の内8回が10月に起きています。
・第1位:1987年10月19日(▲22.61%:▲508ドル)※ブラックマンデー
・第2位:1929年10月28日(▲13.4%:▲41ドル)※暗黒の木曜日
・第3位:2020年3月16日(▲12.93%:▲2997.10ドル)※パンデミック(世界的大流行)
・第4位:1929年10月29日(▲11.7%:▲31ドル)
・第5位:1931年10月5日(▲10.7%:▲10ドル)
・第6位:2020年3月12日(▲9.99%:▲2352.60ドル)
・第7位:1929年11月6日(▲9.92%;▲26ドル)
・第8位:1987年10月26日(▲8.04%:▲157ドル)
・第9位:2008年10月15日(▲7.87%:▲733.08ドル)
・第10位:2020年3月9日(▲7.79%:▲2013.76ドル)
・第11位:2008年12月1日(▲7.70%:▲679.95ドル)
・第12位:2008年10月9日(▲7.33%:▲678.91ドル)
・第13位:1997年10月27日(▲7.18%:▲554.26ドル)
・第14位:2001年9月17日(▲7.13%:▲684.81ドル)
・第15位:2008年9月29日(▲6.98%:▲777.68ドル)
2022年10月以降のリスクシナリオを確認しておきたいと思います。
地政学リスクでは、ユーラシア大陸の両端への警戒感が高まっています。
西側では、プーチン露大統領がクリミア大橋の爆破への報復措置として、ウクライナで戦術核兵器を使用する可能性が挙げられます。プーチン露大統領は、ウクライナ4州を併合し、「米国は2回にわたり核兵器を使用し、日本の広島と長崎を破壊した。米国はいまだに、ドイツや日本、韓国などの国々を冷笑的に『同盟国』と呼びながら、事実上占領しているのだ」と批判しています。
東側では、習中国国家主席が第20回共産党大会(10月16日~)で3期目続投を確定させた後、「祖国統一」の実現を「党の歴史的任務」とし、台湾侵攻に踏み切る可能性が挙げられます。
また、ヨーロッパでは冬に向けたエネルギー危機への警戒感、欧州エネルギー会社のマージン・コール(1兆5000億ユーロ)や英国保険業界のマージン・コール(3200億ポンド)への警戒感が高まっています。
英国では、トラス英首相によるトラスノミクスを受けた英国債の暴落懸念、イタリアでは、メローニ伊首相の経済政策に対するイタリア国債暴落懸念が高まっています。
そして、米連邦準備理事会(FRB)が先陣を切っている金融政策正常化を受けて、新興国のドル建て債務危機への警戒感が高まっています。