あの時あの動き、過去から学ぶ

第25回【あの時あの動き、過去から学ぶ】カラー革命

旧ソ連のアネクドート(滑稽な小話)に、モスクワの赤の広場で、白紙のチラシをまいていた男が逮捕される話があります。

男「白紙をばらまいても逮捕されるのか?」

官憲「お前が白紙に何を書こうとしていたか知っているぞ」

 

2022年の秋、中国各地の大学生たちが白紙を掲げて抗議に参加しました。

警察官はこう言ったとのことです。

「ロシアでは1枚の白紙を掲げても逮捕される。書かれていなくても、みんな何が問題か知っている」


2022年10月13日、習中国国家主席が3期目の続投を確定した第20回中国共産党大会が開幕する3日前に、北京市北西部の四通橋の歩道橋に突如一人の男が横断幕を掛けた後に逮捕されました。

横断幕には、次のような抗議文が書いてありました。


・不要核酸 要吃飯(PCR検査は要らない 飯が欲しい)

・不要封控 要自由(ロックダウンは要らない 自由が欲しい)

・不要 言 要尊厳(ウソは要らない 尊厳が欲しい)

・不要文革 要改革(文革は要らない 改革が欲しい)

・不要領袖 要選票(偉大な指導者は要らない 選挙用紙が欲しい)

・不做奴才 做公民(奴隷にならず 公民になる)

・罷課罷工 罷免独裁国賊習近平(仕事をボイコットし 独裁国賊の習近平を罷免しよう)

 

欧米のメディアは、1989年6月4日の天安門事件の時に、一人で戦車の隊列の前に立ちはだかった「タンクマン」になぞらえて、「ブリッジマン」と呼び始めました。

 

そして、中国全土で、1989年6月の天安門事件前夜以来となる、政府の「ゼロコロナ政策」に反対する抗議デモが燎原に広がる火の如く拡大していきました。

天安門事件(1989年6月4日)の前の5月15日には、ゴルバチョフ元露大統領が国賓として訪中し、5月18日には、改革派の趙紫陽総書記が演説をしていました。


1989年代のドル円相場は、1988年1月の120円台から1990年4月の160円台に向けての上昇トレンドの途上にありました。

6月4日のドル円相場は、始値143.80円、高値144.60円、安値143.55円、終値144.40円となっています。

 

今回は11月28日にモンゴルのウフナーギーン・フレルスフ大統領が国賓として訪中しています。

そして、11月28日には、ゼロコロナ政策反対の李中国首相がメッセージで、ゼロコロナ政策の中止を訴えています。

 

中国の歴代王朝は、49を数えますが、1949年に建国された中国人民共和国は、中華民国の50番目に続く51番目の王朝なのかもしれません。

そして282人の皇帝がおり、中国人民共和国は、283人目からとなります。


283:毛沢東領導人(1949年 - 1976年)

284:華国鋒領導人 (1976年 - 1978年)

285:鄧小平領導人 (1978年 - 1989年)

286:江沢民領導人 (1989年 - 2002年)

287:胡錦濤領導人 (2002年 - 2012年)

288:習近平領導人 (2012年 - )


49の歴代王朝の平均存続期間は、約70年間とのことですが、中国人民共和国は、建国以来73年目を迎えています。

2000年代になって中・東欧や中央アジアの旧共産圏諸国で民主化を掲げて起こった一連のカラー革命(Color revolution)が、2022年の中国で「白色革命」として起きているのでしょうか。

 

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第52回 2022年秋のドル売り・円買い介入
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為替情報部 アナリスト

山下 政比呂

証券会社で株式・債券の営業、米系銀行で為替ディーラー業務(スポット、スワップ、オプション)に従事。プライベートバンクでは、為替のアドバイサーとして円資産からドル建て資産への分散投資を推奨してきたドル高・円安論者。 「酒田罫線法」「エリオット波動分析」「ギャン理論」などのテクニカル分析をベースに、ファンダメンタルズ分析との整合性を図り、相場観を構築。 ウォール街の格言「ゴルフと相場は、どちらもタイミングが全て」に出合い、ゴルフと相場の共通項を模索中。 2016年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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