あの時あの動き、過去から学ぶ

ターミナルレートの後のリセッション

「あなたの隣人が失業したらリセッション(recession:景気後退)、

あなた自身が失業したらデプレッション(depression:恐慌)」

(トルーマン米第33代大統領)

 

2022年3月から米連邦準備理事会(FRB)による金融政策正常化が開始され、FF金利誘導目標は、0.00-25%から12月の第7次利上げ(4.25-50%)まで+4.25%引き上げられました。

2023年末のターミナルレート(利上げの最終到達点)は5.10%程度(※FF金利5.00-25%)と示唆されています。過去のパターンでは、米国はFRBの最終利上げの後に、リセッション(景気後退)に襲われています。

 

すなわち、FRBは金融危機や景気悪化に遭遇した場合、金融緩和政策で対応し、景気が回復するに連れて金融政策正常化により金利を引き上げていきますが、金利の上昇が景気減速、後退に繋がることになります。

 

米国では、2四半期以上連続して国内総生産(GDP)がマイナスを記録した場合、リセッション(景気後退)としており、1900年以降24回を数えています。リセッションとは、以下の通りの景気後退です。

・「経済活動全般」にわたって「相当な下降局面」にあること

・数ヵ月以上の持続的なものであること(※「深さ、期間、広がり」が必要)

・実質GDP、鉱工業生産、雇用、個人所得、販売高、等で明示的な下降を見せていること

 

リセッションの到来を警告する予兆は、以下の通りです。

2年国債利回りが10年国債より高くなる「逆イールド(長短金利逆転)」が発生した場合、半年から2年先に、ほぼ100%の的中率(ダマシは1回限り)でリセッション入りしています。

米10年債利回りは、10月21日の4.335%、11月8日の4.241%をダブル・トップにした変則的なヘッド・アンド・ショルダーが完成し、目標値2.78%が点灯しており、米国のリセッション(景気後退)入りを警告しています。

 

サマーズ元米財務長官は「1955年以来過去75年間、インフレが4%を超えて、失業率が5%以下で推移する場合、米経済は2年以内にリセッション入りしてきた」と警告しています。

 

これまでのFRBの利上げ局面とリセッションを整理しておきたいと思います。

■オイルショック:発生時期1990年7月~1991年3月(8カ月間)

・利上げ:1983年3月31日(8.50%)~1984年8月9日(11.5625%)+3.0625%

・利上げ終了からリセッション:72ヶ月

・ピークの失業率:7.8%&GDP低下率:-1.4%

■ドットコムバブル崩壊:発生時期2001年3月~2001年11月(8カ月間)

・利上げ:1994年2月4日(3.00%)~1995年2月1日(6.00%)+3.00%

・利上げ終了からリセッション:74ヶ月

・ピークの失業率:6.3%&GDP低下率:-0.3%

■世界金融危機:発生時期2007年12月~2009年6月(1年6カ月)

・利上げ:2004年6月30日(1.00%)~2006年6月29日(5.25%)+4.25%

・利上げからリセッション:18ヶ月

・ピークの失業率:10%&GDP低下率:-5.1%

■新型コロナウイルスパンデミック:発生時期2020年3-4月(2カ月)

・利上げ:2015年12月17日(0.25%)~2018年12月20日(2.50%)+2.25%

・利上げからリセッション:15ヶ月

・ピークの失業率:14.8%&GDP低下率:-31.4%

■ウクライナ戦争・パウエルショック:発生時期予想2024年8月~

・利上げ:2022年3月17日(0.00%)~2023年5月3日:5.00-25%(※予想)

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ターミナルレートの後のリセッション
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為替情報部 アナリスト

山下 政比呂

証券会社で株式・債券の営業、米系銀行で為替ディーラー業務(スポット、スワップ、オプション)に従事。プライベートバンクでは、為替のアドバイサーとして円資産からドル建て資産への分散投資を推奨してきたドル高・円安論者。 「酒田罫線法」「エリオット波動分析」「ギャン理論」などのテクニカル分析をベースに、ファンダメンタルズ分析との整合性を図り、相場観を構築。 ウォール街の格言「ゴルフと相場は、どちらもタイミングが全て」に出合い、ゴルフと相場の共通項を模索中。 2016年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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