1. ブレイナード国家経済会議(NEC)委員長
ブレイナード国家経済会議(NEC)委員長は、FRB理事の頃は、ハト派の急先鋒でしたが、2022年にFRB副議長に就任した後は、タカ派に転向し、2023年にNEC委員長に就任し後は、ハト派へ戻っています。雌ハトが、本来のハトの巣箱に帰巣したのかもしれません。
■国家経済会議(NEC)委員長:ハト派
6月29日、米国家経済会議(NEC)のブレイナード委員長は、インフレを巡る状況が今年後半も改善を続け、2024年の米大統領選までに2%もしくはそれを幾分上回る水準まで鈍化する可能性があると「想定する十分な理由がある」という認識を示しました。ブレイナードNEC委員長は、インフレが11カ月連続で鈍化し、高止まりしていた住宅価格も今年下期には「大幅に」下落するもようと指摘した。さらに最近再び上昇していた中古車価格も下落する見通しのほか、バイデン大統領が進める薬価引き下げに向けた取り組みもプラスの効果をもたらすと述べていました。
■FRB副議長:タカ派
2021年の秋、米国のコア消費者物価指数が前年比+7.0%まで上昇していた頃、パウエルFRB議長、ブレイナードFRB理事、そしてカシュカリ米ミネアポリス連銀総裁の三羽鳩は、「インフレ高進は一時的」という迷言を繰り返していました。しかし、バイデン米大統領による2期目のFRB議長続投というエサにつられて、パウエルFRB議長はタカ派へ転向し、ブレイナードFRB理事もFRB副議長昇格というエサにつられてタカ派へ転向しました。
2022年3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、FF金利誘導目標を0.00-25%から0.25%引き上げ、2023年5月のFOMCにかけて10回利上げして、FF金利誘導目標を5.00-25%へ引き上げました。
2023年1月には、「インフレ率が持続的に2%に戻ることを確認するためには、金融政策はしばらくの間、十分に引き締め的な水準である必要がある」と述べ、早期の利下げ転換を見込む市場を牽制しました。
■FRB理事:ハト派
2021年3月、ハト派の急先鋒だったブレイナードFRB理事は、「景気支援策を引き揚げる前に、FRBは雇用と物価を巡る目標の達成を断固として忍耐強く待つ」と述べました。そして、失業が減少し、インフレが上向く兆候がで始めた時に予防的に対応しないと指摘した。いかなる金融政策の引き締めも「雇用とインフレの状況に左右される」とし、こうしたアプローチは「断固として忍耐強く」対応することを意味していると述べました。
2.カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
■ハト派
2017年3月14-15日のFOMCでは、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁を除く賛成多数で、FF金利の0.75%-1.00%への引き上げが決定されました。
カシュカリ連銀総裁は、利上げに反対した理由を文書で公表しました。
「当局が2大責務の達成にどの程度近いかを判断する上で私が重視するデータが、前回の会合以降ほとんど変わっていない。インフレ目標はまだ達成できていない。労働市場が力強さを増し続けているのは、スラック(たるみ)が残っていることを示唆している」
■タカ派
2022年6月のFOMCでのドット・プロットでは、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は、2022年末までに3.9%、2023年末までに4.4%への上昇を見込むとして、最もタカ派的な見通しを示しました。そして、8月には、「インフレ率が目標を大幅に上回っている可能性が非常に高い来年初めに利下げを始めるという考えは非現実的だと思う。ある時点まで金利を引き上げた後、利下げを検討する前に、インフレ率が2%に戻りつつあると確信するまで様子を見るというシナリオの方が可能性が高いとみている」と述べ、タカ派陣営での足場を構築しました。
2023年4月11日にモンタナ州立大学で行った講演で、「われわれの金融政策措置や、銀行ストレスによる信用状況の引き締まりが景気低迷につながる可能性はある。景気後退につながることもあり得る」と述べた。そして「インフレ率を低下させる必要がある。それができなければ、就職の見通しは実に厳しくなる」と警鐘を鳴らしました。
3.ブラード米セントルイス連銀総裁
■ハト派
2016年12月のFOMCでは、全員一致でFF金利誘導目標が0.50-75%に引き上げられました。しかしながら、ハト派のブラード米セントルイス連銀総裁は、景気に配慮して利上げには慎重なスタンスを表明しました。
■タカ派
2022年3月のFOMCでは、FF金利誘導目標が0.00-25%から0.25%引き上げられ、0.25-50%となりました。
タカ派のブラード米セントルイス連銀総裁は、0.50%の利上げを主張し、「迅速に中立水準に達することが望ましい。早ければ7-9月(第3四半期)に中立水準を上回る水準とし、その時点でインフレに下押し圧力を強めたいとさえ私は言ってきた」と述べました。