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ドル円、140円割れ目指す展開か!?
今週のドル円はさえない展開となりました。4月31-5月1日の日銀金融政策決定会合や米中両国が関税の大幅な引き下げで合意したとのニュースを受けて、5月12日には148.65円まで買い戻されましたが、結局その上昇を全て消す格好となりました。23日には一時142.42円と7日の安値に面合わせしています。
トランプ減税の恒久化などによる米財政悪化への懸念が強まる中、ドルから他通貨や他の商品に資金を振り向ける「米資産離れ」が目立っています。市場では「投機筋も個人投資家もドル安方向から目線を移せないでいる。トレンドが転換する状況にはなさそうだ」との声が聞かれました。
*Trading Viewより
なお、今週23日に発表された4月消費者物価指数(CPI)は変動の大きい生鮮食品を除く総合が前年比3.5%上昇と3月の3.2%を上回り、2カ月連続で伸び率が拡大。予想の3.5%を上回りました。
日銀は4月31-5月1日の日銀金融政策決定会合で政策金利を市場予想通り0.50%に据え置きましたが、同時に公表した4月の展望レポートで経済成長率や物価見通しを前回(1月)から下方修正。また、植田和男日銀総裁は記者会見で「米国の関税政策などの影響で、中心的な見通しを巡る不確実性は従来以上に大きくなった」との見解を示したほか、「見通しの実現確度はこれまでほど高くはない」「次の利上げのタイミングは見通し変更の有無などで前後する」などと発言。市場では「日銀の利上げ時期が不透明になり、早期の利上げには動かない」との見方が広がりました。
今回の統計結果は日銀の正常化路線を支える内容となっていますが、植田総裁は8日の国会答弁で「米関税による国内物価へのマイナスの影響も無視できない」と発言しており、今後の物価動向は不透明な状況となっています。
投機筋の円買いポジション、拡大はひとまず一服
米商品先物取引委員会(CFTC)が5月23日(日本時間24日早朝)に発表した5月20日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は16万7330枚の円買い越し(ドル円のショート)と前週から4938枚減少しました。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
投機筋の円のポジションは昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが優勢に。4月29日には17万9212枚と過去最大を更新しています。ここ数週間はその動きが一服となっていますが、16万枚を超えており依然として高い水準にあると言えます。
投機筋のポジションは大きく偏っている状況ですが、市場関係者からは「円買い・ドル売り意欲は衰えない可能性がある」との指摘も。「投機筋が円売り・ドル買いに転じるタイミングは見通せず、マーケットの意識がドル売り材料に向かいやすくなっている」と言います。
日米交渉の先行き不透明感も引き続き円買い・ドル売り要因となっています。今週の日米財務相会合では「為替水準については議論しなかった」と伝わったほか、赤沢経済再生相は23日(日本時間24日早朝)に3回目の日米協議で「一連の関税措置の見直しを改めて強く申し入れた」と明らかにしています。「前回以上に率直かつ突っ込んだやりとりができた」としていますが、詳細は不明。「日本側への円安是正を強めかねない」との警戒感は根強く、ドル円の上値を抑える要因となっています。
ドル円の一目均衡表チャートを見ると
ドル円の一目均衡表チャートを見ると、今週も雲にしっかりと頭を抑えられた格好となっています。23日取引終了時点では雲の上限(148.21円)、下限(145.68円)となっており、ここを明確に上抜けることができるかどうかが焦点となっています。また、転換線145.45円、基準線144.27円も週末の終値(142.56円)で明確に下回っています。
*Trading Viewより
テクニカル的にも円買い・ドル売りが入りやすい地合いとなっており、こうなってくると4月22日の安値139.89円や昨年9月16日の安値139.58円の下抜けを目指す展開が想定されます。
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