フランス中央銀行の研究によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明は、15、16歳の高校生程度の教育レベルで読み解くことができるとのことです。
仏中銀の分析では、中央銀行の声明文に頻出する単語は、「Inflation(物価上昇)」「economy(経済)」「interest rate(金利)」「Output Growth(成長)」「Monetary Policy(金融政策)」「Financial conditions(財政状況)」などとなっています。
そして、「国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)」は、「economy(経済、景気)」となり、「雇用(employment)」は、「仕事(job)」や「勤労者数(number of people at work)」となっています。
2023年5月3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、パウエル第16代FRB議長は、10回目の利上げでFF金利誘導目標を5.00-25%に引き上げた後、「委員会は入手する情報を注意深く見極め、その金融政策への含意を判断する」との声明文、そして「累積的cumulative」への言及で利上げ休止を示唆しました。
2006年8月8日のFOMCで、バーナンキ第14代FRB議長は、17回の利上げで到達したFF金利誘導目標5.00-25%の据え置きを決定し、「今後出てくる情報・統計によって示されるインフレ見通し、経済成長率見通しの展開次第である」との声明文、そして「累積的cumulative」への言及で利上げ休止を示唆しました。
1. バーナンキ第14代FRB議長(2006年8月)
2006年5月、米国の不動産バブルは、米連邦準備理事会(FRB)の断続的な利上げにより、崩壊し始めていました。
米連邦準備理事会(FRB)は、グリーンスパン第13代FRB議長時代の2004年6月のFF金利1.00%を起点にして14会合連続、バーナンキ第14代FRB議長の3会合連続での17回の利上げ(+0.25%:measured pace)で5.00-25%まで引き上げていました。
バーナンキFRB議長は、「住宅市場が減速する中で引き締めを続けることになる」と警告して、利上げ停止を主導しました。
「インフレリスクに対処するために必要になるかもしれない追加引き締め措置のタイミングについては、今後出てくる情報・統計によって示されるインフレ見通し、経済成長率見通しの展開次第である」
「金融政策の累積的な引き締め」(cumulative effects of monetary policy actions)
2. パウエル第16代FRB議長(2023年5月)
2023年3月から4月にかけて、FRBの断続的な利上げにより、米国地銀3行(シリコンバレーバンク、シグネチャー・バンク、ファースト・リパブリック・バンク)が経営破綻に追い込まれました。
5月2-3日のFOMCでは、10回目の利上げでFF金利誘導目標を5.00-25%に引き上げたものの、声明文では利上げ休止が示唆されました。
「委員会は入手する情報を注意深く見極め、その金融政策への含意を判断する」
「どの程度の追加的な政策引き締めが適切となり得るかを決定する上で、委員会は金融政策の累積的(cumulative)な引き締めや、金融政策が経済活動とインフレに与える影響の遅効性、経済や金融の情勢を考慮する」
■第8次利上げ(0.00-25%⇒4.50-75%)までのフォワードガイダンス
「委員会はインフレ率を時間とともに2%に戻すべく十分に抑制的な金融政策スタンスを実現するためには、継続的な誘導目標レンジ引き上げ(on going increase)が適切になると見込む」
■第9次利上げ(4.50-75%⇒4.75-5.00%)のフォワードガイダンス(anticipate)
「幾分かの追加引き締めが(some additional policy firming)適切となる可能性を見込む(anticipate)」
■第10次利上げ(4.75-5.00%⇒5.00-25%)(determine)
「委員会は入手する情報を注意深く見極め、その金融政策への含意を判断(determine)する」