日々是売買~トレードへの道

第46回「ドル円、ピークアウトか 押し下げ介入?のサプライズ」

当コラムでは「IG証券」のデモ口座で株価指数・FX・コモディティなどをトレードし、売買のタイミングや結果などを公開。証拠金は各100万円スタート。「IG証券」は「FX口座」「株価指数口座」「商品口座」「個別株口座」「債券先物口座」「その他口座」と多様な資産クラスがワンストップで提供されています。

 

 

 

ドル円、米CPI下振れで急落 介入観測も

 

今週のドル円は荒い値動きとなっています。今月3日には一時161.95円と1986年12月以来約37年半ぶりの高値を付けましたが、その後上昇は一服。昨日11日の6月米消費者物価指数(CPI)が予想比で下振れると、米金利の急低下とともに急ピッチで円高・ドル安が進行しました。政府関係者の話として「政府・日銀が為替介入を実施した」との一部報道も伝わる中、昨日NY時間には一時157.44円まで値を下げています

 

*Trading Viewより

 

12日の東京市場に入ってからも乱高下しており、ショートカバーが先行し159.45円まで値を上げたあとは157.76円まで急落。その後すぐに159.41円まで買い戻されましたが、再び158.00円まで下落し、さらには仲値にかけて実需の買いが観測されると159.39円まで再び上昇するなど、かなり荒い値動きとなっています。

 

 

 

注目の6月米CPI

 

米労働省が昨日11日に発表した6月米CPIは事前予想を下回り、物価上昇圧力が着実に低下していることを裏付けました。前年同月比では3.0%と前月の3.3%から3カ月連続で低下。前月比では▲0.1%と2022年7月以来のマイナスとなりました。変動の激しいエネルギーと食品を除くコア指数も前月比0.1%と予想の0.2%を下回り、3カ月連続で上昇幅を縮小。基調的な物価上昇率が着実に低下していることを示しています

 

*CME FedWatch Toolより

 

予想外に下振れた6月米CPIを受けて、金融市場では9月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)が利下げに踏み切るとの見方が一段と強まっています。市場が織り込む9月の利下げ確率は90%を超えており、据え置きはわずかに7.5%程度。


*CME FedWatch Toolより

 

今後は年内の利下げ回数の見通しが2回から3回へと増える可能性があり、それが一段の米長期金利の低下とドル安をもたらす可能性があります。

 

 

 

政府・日銀によるまさかの押し下げ介入?

 

昨日11日の米CPI発表後に急速にドル円は4円以上も急落しましたが、政府関係者の話として「政府・日銀が為替介入を実施した」と伝わっています。短時間で4円以上も円高・ドル安が進んだことは「政府・日銀による為替介入の実施」を強く疑わせるものですが、本日12日夕刻の「日銀当座預金見通し」では約3.5兆円の円買い介入が実施された可能性が示唆されています。

 

今月末に退任する財務省の神田真人財務官は介入の有無について「コメントする立場ではない」との不思議な発言を繰り返していますが、同時に「ファンダメンタルズに沿った合理的な動きとは言えない」「投機が支配しているマーケットになっていると言われている」「1カ月で5%も動いていて、かなり動いている」「最近は金利差が縮小しており、円安の動きは投機と考えるのが自然」と述べ、最近の動きがいかにも「投機的かつファンダメンタルズに沿っていない」との見方を強調。市場では「4月末、5月初めに続き、今年3回目の円買い介入が実施された可能性が高いだろう」とされています。

 

なお、「今までの為替介入と大きく異なるのは、円安が進んだ局面で円買い介入を実施するのではなく、(米CPI発表後に)円高が進んだ局面でドル円を押し下げる目的の『押し下げ介入』が実施されたと見られる点がサプライズだ」との指摘がありました。「何らかの材料をきっかけに一時的に円高に振れた局面を捉えての押し下げ介入は非常に有効な介入となることがある」といいます。

 

 

 

ドル円、いわゆるスケベショート

 

神田真人財務官は今月末に3年の任期を終えますが、「その前にこの歴史的な円安進行を阻止し、決着をつけておきたいという思いがあるのでは」との見方が浮上しています。「退任前の断固たる決意」を信じて、介入に便乗したショート(いわゆるスケベショート)を1ロット、159.082円で建ててみました。ここからはしばらく売り上がっていきたいところです。

 

*IG証券より

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
第54回「ブラックマンデーの再来!?!?(1カ月ぶり2度目)」
第53回「いろいろ底打ち? 日経平均は1カ月ぶり高値」
第52回「ドル円、二番底確認か?底割れか?」
第51回「投機筋のポジション、まさかの円ロングに」
第50回「株も為替もセリング・クライマックス」
第49回「植田総裁が突如タカ派路線、円高と株急落招く」
第48回「投機筋の円売りポジションが10.7万枚まで大幅に減少」
第47回「ヘッジファンドによる円売りポジションが急減」
第46回「ドル円、ピークアウトか 押し下げ介入?のサプライズ」
第45回「ドル円、またまた37年半ぶりの高値を更新」
第44回「ドル円、37年半ぶりの高値 当面は円安・ドル高基調か」
第43回「ドル円、34年ぶりの高値160円に接近 介入は困難か」
第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」
第41回「米雇用統計でFRBの年内利下げ観測が後退」
第40回「ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月」
第39回「ドル円、再び157円台に 介入は困難!?」
第38回「投機筋の円売りポジションが急減 介入受け」
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
第19回「ドル円、140円割れが視野に」
第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」
第17回「米長期金利、2カ月ぶり低水準 上昇リスクにはなお注意」
第16回「米国債のロングポジション、含み益が拡大」
第15回「米国債のロングポジション、含み損から含み益に」
第14回「米10年債利回り、16年ぶりに『5%』を突破」
第13回「米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準」
第12回「初めての米国債(CFD)買い、そろそろ底打ちかと思ったら・・・」
第11回「下手な難平(なんぴん)、素寒貧(すかんぴん)」
第10回「日経ロングはキープもリスク高い週末 米政府機関の閉鎖はほぼ確実に」
第9回「日経225ロング、含みゾーン(損)に突入!」
第8回「日経平均、レジスタンス突破でいよいよ3万4000円台乗せか!?」
第7回「日経平均、9連騰ならず テクニカル的には・・・」
第6回「日経平均をロング トレンドは友達(Trend is your friend)」
第5回「重要イベント通過もポジション取れず・・・相場は乱高下」
第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
第3回「ドル円、ストップロス水準に接近 祝日のため円安けん制発言も期待できず」
第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

中村 知博の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております