バイデン米大統領は、ブレイナード連邦準備制度理事会(FRB)副議長をホワイトハウスの国家経済委員会(NEC)委員長に指名しました。
ブレイナードFRB副議長は、NEC委員長として、イエレン財務長官と共にバイデン政権の経済政策運営で重責を担うことになり、当面の課題はインフレ抑制法(IRA)によるインフレの撲滅となります。
ブレイナードFRB副議長は、かつて、FRB理事としてイエレン第15代FRB議長の隣室で金融政策の女子会を作り、ハト派的な金融政策を打ち出していました。
今年2023年は、ホワイトハウスでNEC委員長として、イエレン米財務長官と財政政策に関する老女会を作ることになります。
2021年秋の時点では「インフレ高進は一時的」と主張した物価情勢に疎い2人ですが、インフレを撲滅することは出来るのでしょうか。
1. ブレイナード米財務次官(国際担当)2013年
2013年1月25日、安倍政権の誕生により、ドル円が80円台から95円台へ上昇していた時、ブレイナード米財務次官は「私はゲームのルールが今後も引き続き守られると信じている。システムを円滑に機能させるために非常に重要なことだ」と述べていました。
為替市場の伝統的ルールとは、通貨の競争的切り下げを目指さないこと、為替レートは市場に委ねて政府は干渉しないことです。
ブレイナード米財務次官は、ドル高を嫌悪するハト派でした。
2.ブレイナードFRB理事(2014年~2022年)
ブレイナードFRB理事は、金融政策ではハト派の急先鋒であり、金融規制ではタカ派の論客として、反対投票は23回、棄権は4回を数えています。
ブレイナードFRB理事は、イエレン第15代FRB議長とは隣室で良好な関係を築いていました。イエレン第15代FRB議長の持論は、「高圧経済政策」、すなわち、インフレ高進にも関わらず、低金利政策を維持する、というものです。
3.ブレイナードFRB副議長(2022年2月~2023年2月)
バイデン米大統領が、「インフレ高進は一時的」と唱え続けていたハト派のブレイナードFRB理事を次期FRB副議長に指名し、タカ派へ転換させたのは、2024年の米国大統領選挙に向けて、インフレ撲滅が最重要課題であることを宣言したことになります。
4. ブレイナード米国家経済委員会(NEC)委員長
バイデン米大統領が、タカ派のブレイナードFRB副議長を国家経済委員会(NEC)委員長に指名したのは、2024年の米国大統領選挙に向けて、インフレ撲滅が最重要課題であることを宣言したことになります。ブレイナードNEC委員長は、イエレン米財務長官と共に、インフレ抑制法(IRA)という錦の御旗の下で、パウエル第16代FRB議長率いる米連邦準備理事会(FRB)に対して、利上げ圧力をかけ続けることが予想されます。