あの時あの動き、過去から学ぶ

第35回 ワシントンでのインフレ巡る女子会

バイデン米大統領は、ブレイナード連邦準備制度理事会(FRB)副議長をホワイトハウスの国家経済委員会(NEC)委員長に指名しました。

ブレイナードFRB副議長は、NEC委員長として、イエレン財務長官と共にバイデン政権の経済政策運営で重責を担うことになり、当面の課題はインフレ抑制法(IRA)によるインフレの撲滅となります。


ブレイナードFRB副議長は、かつて、FRB理事としてイエレン第15代FRB議長の隣室で金融政策の女子会を作り、ハト派的な金融政策を打ち出していました。

今年2023年は、ホワイトハウスでNEC委員長として、イエレン米財務長官と財政政策に関する老女会を作ることになります。


2021年秋の時点では「インフレ高進は一時的」と主張した物価情勢に疎い2人ですが、インフレを撲滅することは出来るのでしょうか。

 

1. ブレイナード米財務次官(国際担当)2013年

2013年1月25日、安倍政権の誕生により、ドル円が80円台から95円台へ上昇していた時、ブレイナード米財務次官は「私はゲームのルールが今後も引き続き守られると信じている。システムを円滑に機能させるために非常に重要なことだ」と述べていました。

為替市場の伝統的ルールとは、通貨の競争的切り下げを目指さないこと、為替レートは市場に委ねて政府は干渉しないことです。

ブレイナード米財務次官は、ドル高を嫌悪するハト派でした。

 

2.ブレイナードFRB理事(2014年~2022年)

ブレイナードFRB理事は、金融政策ではハト派の急先鋒であり、金融規制ではタカ派の論客として、反対投票は23回、棄権は4回を数えています。

ブレイナードFRB理事は、イエレン第15代FRB議長とは隣室で良好な関係を築いていました。イエレン第15代FRB議長の持論は、「高圧経済政策」、すなわち、インフレ高進にも関わらず、低金利政策を維持する、というものです。

 

3.ブレイナードFRB副議長(2022年2月~2023年2月)

バイデン米大統領が、「インフレ高進は一時的」と唱え続けていたハト派のブレイナードFRB理事を次期FRB副議長に指名し、タカ派へ転換させたのは、2024年の米国大統領選挙に向けて、インフレ撲滅が最重要課題であることを宣言したことになります。

 

4. ブレイナード米国家経済委員会(NEC)委員長

バイデン米大統領が、タカ派のブレイナードFRB副議長を国家経済委員会(NEC)委員長に指名したのは、2024年の米国大統領選挙に向けて、インフレ撲滅が最重要課題であることを宣言したことになります。ブレイナードNEC委員長は、イエレン米財務長官と共に、インフレ抑制法(IRA)という錦の御旗の下で、パウエル第16代FRB議長率いる米連邦準備理事会(FRB)に対して、利上げ圧力をかけ続けることが予想されます。

この連載の一覧
第55回  ハト派とタカ派(2)
第54回 白川第30代日銀総裁と黒田第31代日銀総裁の「2%」
第53回 2024年米国大統領選挙のジンクス
第52回 2022年秋のドル売り・円買い介入
第51回 米為替報告書、日本を「監視リスト」から放免
第50回 「AIバブル」と「ドットコム・バブル」
第49回 40年周期の国策の失敗
第48回 チキンゲームという空騒ぎの閉幕
第47回  エルドアン=オアン体制の誕生
第46回 バーナンキ第14代議長とパウエル第16代議長の利上げ休止宣言
第45回 エルドアン・トルコ大統領、辛勝するものの信任されず
第44回  黒田総裁から植田総裁へ
第43回  米民主党大統領と下院共和党による茶番劇
第42回 タカ派かハト派か、それが問題だ
第41回 新デジタル円への切替という既視感
第39回 2008年と2023年の既視感
第38回 日銀10年の宴の終焉
第37回 パウエルFRB議長の「2011年夏の日の思い出」
第36回 「パンドラの箱」の中のリバーサル・レート
第35回 ワシントンでのインフレ巡る女子会
第34回 植田(元)日銀審議委員と第32代日銀総裁(候補)
第33回 勝つ介入
第32回 1兆ドルのプラチナコイン発行?
第31回 金融政策のパンドラの箱「YCC」
第30回  債務上限を巡る茶番劇
第29回 無能な議会 (Parliamentary Funk)
第28回 ドル高・円安8年サイクル
第27回 1987年と1998年に生まれて
ターミナルレートの後のリセッション
第25回【あの時あの動き、過去から学ぶ】カラー革命
第24回【あの時あの動き、過去から学ぶ】マラドーナ理論(Maradona theory)
第23回【あの時あの動き、過去から学ぶ】ワールドカップの法則
第22回【あの時あの動き、過去から学ぶ】パリ合意
第21回【あの時あの動き、過去から学ぶ】カーターショック
第20回【あの時あの動き、過去から学ぶ】英国民主主義の黄昏
第19回【あの時あの動き、過去から学ぶ】ルーブル合意(1987年2月:153.50円±2.5%)
第18回【あの時あの動き、過去から学ぶ】ドルの価値を決める者:米国大統領
第17回【あの時あの動き、過去から学ぶ】10月はウォール街の危険な季節
第16回【あの時あの動き、過去から学ぶ】9月は金融危機の季節
第14回【あの時あの動き、過去から学ぶ】ゴルバチョフ元ソ連大統領の光と影
第13回【あの時あの動き、過去から学ぶ】8月は円高トラウマ
第10回【あの時あの動き、過去から学ぶ】ブラックマンデー
第9回【あの時あの動き、過去から学ぶ】消費増税と円安
第8回【あの時あの動き、過去から学ぶ】大地震と円高
第7回【あの時あの動き、過去から学ぶ】ニクソン・ショック
第6回【あの時あの動き、過去から学ぶ】ドル円固定相場(1ドル=360円)決定
第5回【あの時あの動き、過去から学ぶ】欧州統一通貨「ユーロ」誕生
第4回【あの時あの動き、過去から学ぶ】ロシアのデフォルト(債務不履行)
第3回【あの時あの動き、過去から学ぶ】ソロスが英中銀を撃破した日
第2回【あの時あの動き、過去から学ぶ】ボルカー・ショック(1979年)
第1回【あの時あの動き、過去から学ぶ】1985年9月の「プラザ合意」

為替情報部 アナリスト

山下 政比呂

証券会社で株式・債券の営業、米系銀行で為替ディーラー業務(スポット、スワップ、オプション)に従事。プライベートバンクでは、為替のアドバイサーとして円資産からドル建て資産への分散投資を推奨してきたドル高・円安論者。 「酒田罫線法」「エリオット波動分析」「ギャン理論」などのテクニカル分析をベースに、ファンダメンタルズ分析との整合性を図り、相場観を構築。 ウォール街の格言「ゴルフと相場は、どちらもタイミングが全て」に出合い、ゴルフと相場の共通項を模索中。 2016年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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