米国の作家マーク・トウェインは、「歴史は繰り返さないが、韻を踏む(History doesn’t repeat itself, but it often rhymes)」と述べています。
ドイツの鉄血宰相ビスマルクは「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」と述べています。
2008年1月にバーナンキ第14代FRB議長は米国のリセッション(景気後退)入りを否定していましたが、3月にはベアスターンズが破綻し、4月には白川第30代日銀総裁が就任、9月にリーマン・ブラザーズが破綻して、リーマンショック(グローバル金融危機GFC:Global Financial Crisis)が世界の市場に襲いかかりました。
2023年2月にイエレン第78代米財務長官が米国のリセッション入りを否定し、3月には、シリコンバレーバンク(SVB)など複数の金融機関が破綻、4月には植田第32代日銀総裁が就任しますが、今年の秋は平穏なのでしょうか。
■バーナンキ第14代FRB議長の楽観
2007年3月、米国の住宅バブルが最高潮を迎えつつある時、バーナンキ第14代FRB議長は、議会公聴会での証言で楽観的な見方を示しました。
「住宅価格はこれからも上昇基調を継続するだろう。サブプライム市場での問題は、健全な米国経済と金融市場が対処できる。」
2007年12月に米国経済はリセッション(景気後退)(2007年12月-2009年6月)に陥っていましたが、2008年1月、9月にリーマンショックが起きる年に、バーナンキ第14代FRB議長は依然として楽観的でした。
「FRBは、現在、米国経済がリセッションに陥るとは想定していない」
・2008年3月5日:米投資ファンド大手のカーライル傘下のカーライルキャピタルが、追加担保の提供ができず、デフォルト宣告を受けた。
・2008年3月10日:米投資銀行大手ベアスターンズの破綻の噂が広まり、同社株が急落
・2008年3月11日:欧米5中央銀行が緊急の追加流動性対策を発表
・2008年3月14日:米大手銀行のJPモルガンチェースがFRBの流動性供給支援を受け、ベアスターンズを1株2ドルで救済買収すると発表
・2008年4月:白川第30代日銀総裁が就任
・2008年9月15日:米投資銀行大手リーマン・ブラザーズが経営破綻
■イエレン第78代米財務長官の楽観
2023年2月6日、イエレン米財務長官は、「50万の雇用があり、失業率が約50年ぶり低水準となっている時に、リセッションは起こらない」と述べました。
2019年の夏にもリセッションに否定的だったが、米国経済は2020年2-4月に史上最短のリセッションに陥っています。さらに、2021年秋には、「インフレ高進は一時的」と楽観視していましたが、米国のインフレ率は、2022年~2023年と持続的でした。
・2023年3月8日:米シルバーゲート・バンク(Silvergate Bank)が清算
・2023年3月10日:米シリコンバレーバンク(Silicon Valley Bank)が経営破綻
・2023年3月12日:米シグネチャー・バンク(Signature Bank)が事業停止
・2023年3月13日:HSBCがSVBの英国部門を1ポンドで買い取り
・2023年3月18日:UBSがスイス金融大手クレディ・スイス(Credit Suisse)を買収
・2023年4月:植田第32代日銀総裁が就任
1週間あまりで4つの「S」で始まる米金融機関が破綻したことは、金融市場からのSOSなのかもしれません。