中国株投資を始めるためのキーワード。今回は国務院について紹介します。
国務院は中国の中央政府の行政機関であり、日本の内閣に相当します。中国の憲法では、「国務院が最高国家権力機関(全国民代表大会=全人代、国会に相当)の執行機関であり、最高国家行政機関である」と定めています。1949年の建国時は、中央人民政府の執行機関として、その前身「政務院」が設置されましたが、1954年に憲法が制定されたことにより、同年9月27日に政務院は現在の国務院に改編されました。
国務院の構成
1982年に改正された国務院組織法によると、国務院は国務院総理(首相)、副総理、国務委員、各部長(各省大臣に相当)、各委員会主任(庁長官に相当)、中国人民銀行行長(中央銀行総裁)、審計署審計長(会計検査院院長)、国務院秘書長(事務長官)で構成されます。
国務院総理は国務院の首長です。国家主席の指名に基づき、全人代の承認を経て国家主席が任命します。中国では中国共産党の中央委員会総書記(最高指導者)が国家主席を兼務していますから、首相の国務院総理を選任する権限は事実上、共産党の最高指導者にあります。また、総理は中国共産党の最高指導部である7人の中央政治局常務委員(いわゆる「チャイナ・セブン」)から指名されます。共産党最高指導部の序列でいえば、総書記に次ぐ第2位の権力者に当たります。
副総理は総理を補佐する役割です。日本は副総理が1人しかいませんが、中国は複数人います。現在は通常、常務副総理(第1副首相)は共産党中央政治局常務委員、その他の副総理は共産党中央政治局委員(通常25人、現在の第20期は24人)から指名されます。
国務委員は1982年に増設された役職です。文化大革命(1966-1976年)の後、失脚していた古参幹部らに名誉職的に副総理職が与えられ、副総理が一時20人以上に増えてしまった状況を解消するために設置されたそうです。副総理と同級の待遇になりますが、序列は副総理以下です。
国務院副総理と国務委員は国務院総理が指名し、全人代の承認を経て、国家主席が任命します。総理、副総理、国務委員の任期は全人代代表と同じく5年で、3選はできないことになっています。
国務院秘書長は日常業務の処理や国務院弁公庁(事務局)の責任者で、通常は副総理か国務委員が兼任します。
国務院の常務会議と全体会議
国務院は日本の内閣に相当するため、国務院の会議は日本の「閣議」に当たります。国務院総理が招集し、副総理、国務委員、秘書長が出席する国務院常務会議は週に1回のペースで開かれます。国務院の活動に関する重要問題について議論・決定し、法律や行政法規の草案の審議なども行います。景気対策や産業支援策などの経済政策に関する方針がこの会議で示されることが多く、預金準備率や政策金利の調整を「予告」することもあります。
一方、国務院全体会議は半年に1回開かれます。国務院総理が招集し、全構成員が参加します。全人代で国務院総理が毎年の全人代で行う政府活動報告の草案もこの会議で議論が行われます。
国務院の構成部門や直属機構など
国務院以下の各部は日本の省に相当し、部長は各省大臣に相当します。また、国務院の各委員会は部の縦割りを超えて政府活動を調整する機能を有します。2023年3月に発足した第14期国務院は、21の部、3つの委員会、中国人民銀行(中央銀行)、国家審計署の計26の部門で構成されています。
このほか、国務院直属特設機構、国務院直属機構、国務院弁事機構、国務院直属事業単位、国務院各部・委員会管理の国家局があります。