中国では、日常生活では日本と同じく「新暦」が用いられていますが、祝日などは現在でも「旧暦」が多く採用されています。中国の祝日は毎年12月に中国国務院(内閣に相当)が翌年のスケジュールを発表することになっており、2023年は以下の通りとなります。
【新年】2022年12月31日-2023年1月2日
【春節】1月21-27日(※1月28日(土)と29日(日)は平日扱い)
【清明節】4月5日
【労働節】4月29日-5月3日(※4月23日(日)と5月6日(土)は平日扱い)
【端午節】6月22-24日(※6月25日(日)は平日扱い)
【中秋節・国慶節】9月29日-10月6日(※10月7日(土)と10月8日(日)は平日扱い)
春節や国慶節は1週間の大型連休
具体的にみてみると、新年は日本と同じですが、春節(旧正月)などは旧暦に基づいた祝日となります。清明節は一般的に先祖の墓参りに出かける日とされ、端午節には各地でドラゴンボートレースが開催されるほか、ちまきを食べたりします。中秋節は、日本では月見団子が一般的ですが、中国では月餅を食べる風習があります。一方、前後の土日を平日扱いにして連休を大型化することが多々あり、振替出勤が発生するのは残念な点ですが、春節や国慶節(建国記念日)は約1週間の連休となることから、旅行や帰省をする人が多く、なかでも春節は「民族大移動」などとも形容され、春節前後は輸送各社が「春運」と呼ばれる特別態勢で対応に当たることになっています。
近年定着の「光棍節」、大学生の内輪イベントが発端?
このほか、祝日にはもちろん含まれませんが、中国で近年定着しつつあるイベントとして「光棍節(独身の日)」が挙げられます。毎年11月11日に合わせて開催されるため、「双11(ダブルイレブン)」などとも呼ばれ、アリババ集団(09988)やJDドットコム(09618)などの傘下プラットフォームなどが「天文学的」ともいわれる凄まじい金額を短期間で売り上げています。
「光棍節」はまだ歴史の浅いイベントで、起源については諸説ありますが、江蘇省にある南京大学の男子学生たちが発端との説が有力のようです。彼女のいない男子学生4人が夜な夜な宿舎で、どうすれば彼女ができるか知恵を絞っていたところ、ふとカレンダーに目をやると、「1」が並ぶ11月11日があまりにも孤独に見えたとのこと。「光棍節」と名付けて小規模なイベントを行ったのが始まりで、学生たちが大学を卒業して社会に溶け込んでいくなか、「光棍節」もSNSなどを介して全国的に浸透していったようです。
「光棍節」に商機、アリババ集団が一大セールイベントに
広がりつつある「光棍節」にビジネスチャンスを見出し、いち早く目を付けたのがアリババ集団です。現会長で、傘下の「淘宝網(タオバオ)」で最高財務責任者(CFO)を務めていた張勇氏が2009年、「情人節(バレンタインデー)」にプレゼントを送る習慣に倣い、彼氏・彼女がいない男女も自分自身にプレゼントを送ろうと呼びかけ、ネット通販を多く利用する若者をターゲットに大規模なセールイベントを仕掛けました。第1回目となる2009年にイベントに参加したのは、スポーツ用品大手の李寧(02331)やPC世界大手のレノボグループ(00992)などわずか27社にとどまりましたが、売り上げは通常時の10倍を超え、大成功を収めました。
近年は中国政府によるネット業界に対する締め付けもあり、かつてほどの盛り上がりはありませんが、毎年11月近くになると、プラットフォームやアパレル、スマートフォンやPC、家電メーカー、配送会社などが関連銘柄として注目を集めています。