コーヒー(coffee)、反発傾向を強める
高級コーヒー豆(アラビカ種)の国際価格が反発傾向を強めています。昨年夏から下落の勢いが増し、先月11日には昨年来安値を更新しましたが、そのあとは買い戻しが優勢となり、今週22日には昨年10月中旬以来約4カ月ぶりの高値を付けています。
アラビカ種の国際指標となる米インターコンチネンタル取引所(ICE)のニューヨーク先物(期近)は2月24日現在、1ポンド=190セント。直近の高値2月上旬の260セント前半から40%超急落し、今年1月には142セント後半を付けていましたが、その水準からは30%超の大幅反発となっています。
NYコーヒー先物の日足チャート
出所:Trading View
この急激な反発の要因は?
先月までの下落の要因は、一大消費地の欧州での急激なインフレを背景とした景況感の悪化。コーヒーの消費が鈍り、需給を敏感に映す先物取引所の在庫が急増したことでした。主産地のブラジルで生産の回復が見込まれることも価格下落の要因でした。
では、この急激な反発の要因は?というと特に大きな材料が出たわけではないと言います。需要見通しを巡る懸念は根強く、市場では「弱い世界経済が引き続き需要の制約になり、国際コーヒー価格のいかなる大幅上昇も抑えると予想する」との声が聞かれています。主要国の景気悪化懸念から国際在庫が膨らんでいるうえ、主要産地の南米で豊作が見込まれており、需給緩和を想定した売りは今後再び強まる可能性もあるようです。
ブラジルの生育状況などを睨み
市場では「当面はブラジルの生育状況などを睨んだ投機的な売買が交錯し、不安定な動きが続きそうだ」との声が聞かれます。「先月半ばから続いている上昇は想定以上に大きくなっているが、アラビカ種の収穫サイクルの裏作にも関わらず、ブラジルの2023/24年度生産が前年から増加すると見られていることを忘れてはならない。景気悪化に伴う消費の低迷にも注意が必要で、ここから(コーヒー先物価格の)見通しを強気に傾けるのはリスクが高いだろう」(よそうかい・グローバル・インベスターズ・インク代表 松本英毅氏)。
アラビカコーヒー生産国第一位のブラジル
年によって変動はあるものの、ブラジルのコーヒー生産量(アラビカ種)は世界のコーヒーの総生産量の30-40%前後を占め、世界第一位となっています。
1800年代初頭からコーヒー豆の栽培が進められ、主な産地は南部のサンパウロ州、ミナスジェライス州、パラナ州、エスピリトサント州、バイア州などとなっています。収穫期は5月から9月の間であり、その多くがサントス港から船積みされています。
ブラジルのアラビカコーヒーは基本的には非水洗(アンウォッシュド)で精製されています。なお、ブラジルは主として「アラビカコーヒー」の生産国ですが、コニロンと呼ばれる「ロブスタ種」も生産しています。
ロブスタ種って?
1898年にベルギーのエミール・ローレンがアフリカのコンゴ地方で自生する「ロブスタ種」を発見。のちにコンゴからベルギーに運ばれ、そこでブリュッセルの種苗商リンデンにより「ロブスタ」と命名、販売されました。「ロブスタ」には丈夫・強いとの意味があるそうです。
インドネシアやベトナムなどの東南アジアや、コートジボワールを中心としたアフリカ諸国で多く栽培されていますが、品質は「アラビカ種」に比べて劣り、苦みが強くなっています。用途は「アラビカ種」の補充・増量用、インスタントコーヒー、缶コーヒーなどに使われています。
「コーヒー」といえば「アラビカ種」と考える方の方が多いと思いますし、米インターコンチネンタル取引所(ICE)の先物でも高級コーヒー豆=アラビカ種の価格が多くの投資家に注目されている重要な国際価格と認識されています。
いずれにしても、大のコーヒー好きと自称する私はコーヒー摂取量が非常に多く、これ以上の価格上昇でコーヒー値上げは困るところ。足もとでは外国為替市場で円安傾向も再び強まってきており、国内コーヒー価格の値上げは自身の財布に大きな打撃を与えかねません。