薄いコーヒーはもう飲まなくて良い!?
前回の記事では、このところ、コーヒーの国際価格(高級コーヒー豆、アラビカ種)が急落しており、「国内のコーヒーメーカーは、豆の価格高騰や円安進行を背景に、製品値上げを実施してきましたが、国際価格の大幅下落と現時点の円安一服がこのまま続けば、国内のコーヒー製品にも影響する可能性がある」と指摘しました。今後は、製品値上げに歯止めがかかることが期待されます。
大のコーヒー好きと自称する私は、コーヒー摂取量が非常に多く、1日あたり3-5杯は飲んでいます。秋の値上げラッシュ以降、いつも購入するショップの価格も上がったため、「節約」との意識が頭の片隅にあり、ドリップする際のお湯の量が徐々に増加。最近では「薄いな」と感じていましたが、これからは「薄いコーヒーはもう飲まなくて良いのでは!?」と思う次第です。
出所:Trading View
上記チャートを見ると、アラビカ種の国際指標となる米インターコンチネンタル取引所(ICE)のニューヨーク先物(期近)は12月22日現在、1ポンド169セント前半。直近の高値だった2月上旬の260セント前半に比べて35%安い水準です。コーヒー先物価格は10月に入りレンジを下方向にブレイクし、そのまま下げ足を速めて、11月下旬には150セント半ばまで売られ、その後も上値が重い展開となっています。下落は一服したものの、戻りは鈍い状況と言えます。
ブラジルでは豊作の見込み
この背景には「欧州の需要減」や「ブラジルでの豊作見込み」があると言われています。アラビカ種の最大産地であるブラジルでは、好天による豊作が見込まれています。コーヒーの開花期にあたる10月までは、相次ぐ長雨や干ばつの影響で生産に先行き不透明感がありましたが、足もとは安定した気候が続くといいます。市場関係者からは「2023-24年度も産地の開花、結実の状況が良好のため豊作が期待できる」との声が聞かれています。
一方で、「昨年の降霜の影響を受けた同国の生産不振が解消されたわけではない」と警鐘を鳴らす声も。世界市場で需給逼迫が続く中で消費国の在庫がかなりの低水準まで切り下がっていることも、価格の大きな下支えとなるとの指摘もありました。
ところでアラビカ種って何?
コーヒーは世界各国で栽培されていますが、栽培品種や栽培方法は一定ではなく、それぞれの国や地域によって気候や風土を生かした栽培がなされています。
アラビカ種の原産地はエチオピアとされていますが、アラビア人の手で利用と伝播の途が開かれたことが名称の由来となっており、アラビアン・コーヒーとも呼ばれています。ブラジルやコロンビア、メキシコなどの中南米諸国のほか、エチオピアやイエメン、ハワイ、パプアニューギニア、インドネシアなど世界のコーヒー栽培圏のほぼ全域で生産されています。
アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種の3品種中、品質価値が最も高いとされています。ただ、低温・高温・多雨・少雨に不適で、耐病性は低いうえ、果実は楕円形で熟果は落下しやすいとされています。的確に厳選された豆は良好な香味を醸し、使用価値が非常に高く、レギュラーコーヒーを中心に全てのコーヒー製品に使われています。
コーヒーの需要
コーヒーの主要輸入国は日米欧の先進国となります。国際コーヒー機関(ICO)によると、1位は米国、2位はドイツ、3位はイタリア、4位が日本となります。
世界4位である日本の2021年のコーヒー全体の輸入は45万3418トンで、そのうち生豆の輸入は約40万2100トンと約88%を占めています。そのほかではインスタント・コーヒーやコーヒーエキス、焙煎豆などがあります。生豆の輸入量は下記のとおりで、近年はおおむね40万トンを上回っています。
主な輸入国は、アラビカ種がブラジル・コロンビア・エチオピア・グアテマラ・ホンジュラスなどで、ロブスタ種がベトナム・インドネシアとなっています。なお、ブラジル・ベトナム・コロンビアの上位3カ国の比重が高まっており、2021年は73.2%を占めています。