ハードとソフト
前回は「そもそもコモディティ(Commodity)って何?」「価格はどのような要因で動くの?」ということについて大まかに述べましたが、ここでもう少し詳しく見ていきたいと思います。
コモディティは一般的には天然資源である「ハードコモディティ」と、家畜または農産物である「ソフトコモディティ」があります。
「ハードコモディティ」は通常、金や原油、ゴムなどの採掘または抽出が必要な天然資源であり、「ソフトコモディティ」はトウモロコシや小麦、コーヒー、大豆、豚肉などの農産物・家畜です。
第1回記事では、物価上昇から私たちの生活=お金を守るために「コモディティ投資がおすすめ」としましたが、具体的にコモディティ投資のメリットとは何でしょうか?
コモディティ投資のメリット
一般的によく言われているメリットは「分散投資になること」や「インフレに強いこと」が挙げられます。
<分散投資になる>
コモディティ投資のメリットの一つは分散投資が可能となることでしょう。第2回記事で大まかに述べたように、コモディティ価格は商品ごとに需給バランスや天候、生産量、在庫など様々な要因で変動します。これは株式市場の変動要因とは異なるため、すでに株式投資を行っている人にとっては分散投資になります。
例えば金(ゴールド)は「安全資産」と呼ばれ、テロや戦争など経済にネガティブな出来事が発生し、株式相場が不安定になった場合は値上がりする傾向にあります。この特徴を生かして、株式に投資をしながらリスクヘッジ目的で金に投資を行うことも可能です。
<インフレに強い>
コモディティ投資のもう一つのメリットはインフレに強いということです。こちらも第2回記事で述べたように、コモディティは「実物資産」なのでインフレによって物価が上昇すると、それに伴って値上がりする傾向にあります。
例えば需要に対する供給のギャップなどを理由に、原油や天然ガスの価格が上昇すると、これらに投資をしているコモディティ投資などの金融商品においても利益が上がりやすくなります。
コモディティ投資のデメリット
一方で、コモディティ投資のデメリットは「価格変動が読みにくい」や「インカムゲインがない」、「為替リスクがある」などが挙げられます。
<価格変動が読みにくい>
コモディティは商品ごとに価格変動要因が異なるため、急な価格上昇または下落が起こることがあります。例えば原油などは政治や世界情勢により価格が変動しやすいうえ、中東情勢の影響を大きく受けます。また小麦などの農作物は災害や天候不順などにより生産量に影響が出た場合、需要と供給のバランスが崩れ、価格が変動します。このような価格変動は事前に予測することが難しく、一般的には「デメリット」と捉えられています。
<インカムゲインがない>
株式の配当金や、マンションなど不動産の家賃収入、債券や預金の利息など資産を保有していることにより得られる利益=インカムゲインがありません。そのため、ほかの資産運用に比べると運用益が少ない投資方法と捉えられています。
<為替リスクがある>
コモディティは外貨建てで決済(多くがドル建て)されるために、為替リスクがあります。国内の金価格については商品そのものの価格変動リスク以外に、ドル円のレートについても確認し、為替変動リスクを意識しておく必要があります。
なお、コモディティ投資のデメリットに「ボラティリティ(変動率)が高い」と言われることもありますが、株式市場では銘柄次第で大きく値が振れることもありますし、現在のようにインフレへの警戒が高まっている状況下では債券相場もなかなかの大相場となっていますので、単純にコモディティだけが「ボラティリティが高い」とは考えていません。