国内外の金(ゴールド)価格は伸び悩み
このところ、国内外の金(ゴールド)価格の伸び悩みが目立っています。金の国際価格指標となるニューヨーク商品取引所(COMEX)先物は27日、1トロイオンス=1999.0ドルで取引を終えています。先週発表の米景況感指標が予想より強い内容となったことや、今週発表の米インフレ指標が上振れしたことで、市場では米連邦準備理事会(FRB)が利上げを継続するとの見方が強まり、米金利が上昇。金利のつかない金の投資妙味が低下し、金先物への売りが広がりました。13日に一時2063.4ドルと約1年ぶりの高値を付けていたことから「利益確定売りの動きが出ている」との声も聞かれました。
NY金先物価格の日足チャート
出所:Trading View
日本取引所グループ(JPX)の大阪取引所に上場する円建ての金先物価格も同様に調整が続いています。円建て先物価格は14日に一時1グラム=8697円と最高値を更新しましたが、28日の取引(日本時間27日夜)には8503円まで売られ、11日以来およそ2週間ぶりの安値を付けています。
国内金先物価格の日足チャート
出所:Trading View
金価格は底堅い基調が続く?
東海東京調査センターは金価格について次のように考察しています。NY金価格の過去最高値は2022年3月に付けた1トロイオンス=2078ドルですが、足もとでは同価格水準に接近。昨年以降、米国のリセッション懸念が根強いほか、FRBによる利上げの最終局面が近いとの見方などから、ドル安傾向が継続し、金価格の逆相関の関係性がサポート材料となっています。
また、3月以降の金融システム不安から安全資産とされる金の価格が押し上げられていると分析。今後も米金利低下による金価格の押し上げ圧力が強まると予想しています。さらに、夏頃にかけては米国の債務上限問題も控えており、信用不安が拡大する場面ではリスクヘッジ需要が一段と高まると予想しています。金価格は利益確定の売りをこなしながら、底堅い基調が続くと同調査センターでは考えているようです。
米国の債務上限問題、恒例行事?
最近、よく耳にするワード「米国の債務上限問題」。あくまでも個人的な見解ですが、「恒例行事」となっているため、深刻に考えているマーケット参加者はいないと思っています。結局は共和党と民主党が歩み寄り、債務上限の引き上げと限定的な歳出削減で合意するでしょう。米大統領選などを睨んで、様々な駆け引きは当然あると思いますが、財政資金が枯渇するギリギリで決着するとみています。
とはいえ!!!
無視するわけにはいきません。「恒例行事」にもかかわらず、様々な駆け引きに律儀にマーケットが反応するからです。ちなみにこれも「恒例行事」。
以下、大手米銀の「レポート」や「顧客メモ」をご紹介します。
JPモルガン・チェースは「米国の債務上限到達は早ければ来月5月にも問題になる」と予想し、「米国債のテクニカルなデフォルト(債務不履行)は重大なリスクだ」と指摘しています。債務上限を巡る交渉と連邦予算に関する議論が共に最終期限に“危険なほど近づいている”との見方を示しています。
また、「ストレスの兆しは一般にXデーの2-3カ月前から始まる。Tビルを大量に保有するマネー・マーケット・ファンド(MMF)が、その頃に満期が到来するTビルを保有していないとより積極的に宣伝し始める」としています。
一方、ゴールドマン・サックスはこれまで「税収の伸び悩みにより、政府の資金繰り策が尽きる時期が早まりそうだ」と警告していましたが、今週伝わった報道では「税収の伸びが加速したことで、米債務上限引き上げ期限は7月後半になる」との見解を示しています。米税収が予想外に多額となり、「米財務省は債務上限が引き上げられなくても7月末までは予定されている支払いを引き続き全て行える」としています。