穀物関連銘柄or農業関連銘柄
世界的なインフレ高進で米連邦準備理事会(FRB)にくわえて、欧州中央銀行(ECB)も大幅な利上げに踏み切るとの観測が高まっています。欧米の大幅利上げ観測による景気後退への懸念で、欧米株中心に世界的に株価が下落基調を強めています。コモディティ市場でも原油や金などの下落が続いています。特にWTI原油先物価格は今週、1日で5%を超す下げとなる日もありました。市場関係者からは「原油のマーケットは壊れている」との声が聞かれています。
さて、前回の記事「秋の値上げラッシュ迫る!すぐにでもコモディティに投資したいが商品多すぎ・・・」では、コモディティに関連した金融商品に投資をしようと思っても、商品が多すぎるため、いったい何に投資をすれば良いのか?という問題について述べさせて頂きました。
そして、まずは国内の証券会社で国内株式と同じように取引が可能な国内ETFを見ていきました。今回は、「穀物関連銘柄」について見ていきたいと思います。株式界隈では「農業関連銘柄」と検索するとヒットしやすいと思います。農業機械や農薬、種苗、飼料、農業経営、穀物商社といった農業に関する事業を手掛けている企業になります。それを過去1年の騰落率順に並べてみました。
上昇率トップは丸紅
上の表を見ると、丸紅<8002>が前年比67%上昇の上昇率トップ。同社は総合商社大手で穀物、発電で商社トップクラス。プラントや輸送機、農業化学品にも強みがあります。三菱商事や伊藤忠商事も穀物貿易に強いとされていますが、丸紅が“最も農業関連の銘柄”として物色されやすいようです。
2位は日本農薬<4997>でこちらは前年比55%上昇。農薬専業大手で医薬品原料もあるようです。
3位はサカタのタネ<1377>は種苗トップクラスで、種子・苗木・球根・農園芸用品の生産および販売を手掛けています。また、育種・研究・委託採種技術指導や造園緑化工事・温室工事・農業施設工事の設計・監理・請負などを行っています。
4位は木徳神糧<2700>で米穀卸では規模トップクラス。家庭用・業務用の精米の製造販売、玄米の販売を行っており、日本の主食であるコメの安定供給に全力を注いでいるとのことです。
5位はクミアイ化学工業<4996>で、全農系で農薬専業トップクラス。殺虫剤・殺菌剤・除草剤などの農薬の製造・販売。有機中間体・アミン硬化剤等の化成品の製造・販売を行っています。同社の歴史は「日本の農薬発展の歴史」でもあるとのことです。
「投資の神様」バフェット氏が保有
さて、上昇率トップの丸紅<8002>ですが、同社が8月上旬に発表した2022年4-6月期決算では連結純利益(国際会計基準)が前年同期比79.8%増の2016億円になりました。コモディティ市況の高騰を背景に金属事業やエネルギー事業、農業事業などが好調だったようです。決算発表直後に上昇に転じ上げ幅を広げる展開となりました。
丸紅について思い出されるのは世界の株式市場が新型コロナウイルス拡大で揺らいでいた2020年8月31日。「投資の神様」とも呼ばれるウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャーハサウェイが「三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、住友商事、丸紅の株式を保有した」と発表し、世界の投資家を驚かせたことです。バフェット氏にとっては初めての日本への本格投資。割安株投資で財を築いた投資の神様が日本を選び、丸紅を選んだことは注目に値します。
なお、バフェット氏(バークシャーハサウェイ)は丸紅の発行済み株式の5.05%を保有したことを明らかにしてます。今や立派な「バフェット銘柄」としてその知名度を上げていることも上昇率トップの理由かもしれません。
丸紅は8月末時点で、予想配当利回りが4%を超えていることに加えて、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)などの株価指標で低く据え置かれているバリュー(割安)株でもあります。最低購入代金も14万円程度となっており、投資妙味は高そうです。
*記事内では個別銘柄に言及しておりますが、当該銘柄を推奨するものではありません。また、特定銘柄および株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。最終的な投資の意志決定はご自身の判断でなさるようお願いいたします。