コーヒーの国際価格が急落
このところ、コーヒーの国際価格(高級コーヒー豆、アラビカ種)が急落しています。下記チャートを見ると、11月下旬には今年2月に付けた年初来高値から40%超の急落となっていることが分かります。これは2021年7月以来約1年5カ月ぶりの安値です。一大消費地の欧州では急激なインフレで景況感が悪化。コーヒーの消費が鈍り、需給を敏感に映す先物取引所の在庫が急増しているといいます。
出所:Trading View
アラビカ種の国際指標となる米インターコンチネンタル取引所(ICE)のニューヨーク先物(期近)は12月16日現在、1ポンド171.90セント。直近の高値だった2月上旬の260セント前半に比べて34%安い水準です。コーヒー先物価格は10月に入りレンジを下方向にブレイク。そのまま下げ足を速めて、11月下旬には150セント半ばまで売られ、その後も上値が重い展開となっています。
この背景には「欧州の需要減」があると言われています。米農務省によると、2020-21年度の欧州連合(EU)域内のコーヒー消費量は世界の26%を占めていますが、欧州ではウクライナ危機を背景に急速なインフレが起きています。これを受けて、欧州中央銀行(ECB)はインフレ抑制へ大幅利上げを続けており、景況感が悪化しています。
ECBはタカ派姿勢を維持
ECBは15日の定例理事会で、政策金利を0.50%引き上げ、来年3月から量的金融緩和策として買い入れた国債など資産の規模縮小の開始を決めたと発表しました。声明では「一段の金利上昇を見込む」「金利は安定したペースで大幅に上昇する必要がある」と指摘。
また、ラガルド総裁は理事会後の会見で「今後の利上げ幅についてはデータ次第」としながらも、「当面は0.50%の利上げが予想される」「来年2月と3月も0.50%の利上げの可能性がある」と発言しています。市場では「ECBは金融引き締めに積極的なタカ派姿勢を示した」と受け止められています。
ECBの積極的な金融引き締めはユーロ圏景気の悪化につながるとの懸念から、欧州の株式相場は軒並み急落。欧州を代表する株価指数のひとつユーロ・ストックス50指数は15日に3.5%超の大幅下落となりました。
ブラジルでは豊作見込まれる
アラビカ種の最大産地であるブラジルでは、好天による豊作が見込まれています。コーヒーの開花期にあたる10月までは、相次ぐ長雨や干ばつの影響で生産に先行き不透明感がありましたが、足もとは安定した気候が続くといいます。市場関係者からは「2023-24年度も産地の開花、結実の状況が良好のため豊作が期待できる」との声が聞かれています。
国内のコーヒーメーカーは、豆の価格高騰や円安進行を背景に、製品値上げを実施してきましたが、国際価格の大幅下落と現時点の円安一服がこのまま続けば、国内のコーヒー製品にも影響する可能性も。製品値上げに歯止めがかかることが期待されます。
薄いコーヒーはもう飲まなくて良い!?
大のコーヒー好きと自称する私は、コーヒー摂取量が非常に多く、1日あたり3-5杯は飲んでいます。秋の値上げラッシュ以降、いつも購入するショップの価格も上がったため、「節約」との意識が頭の片隅に。ドリップする際のお湯の量が徐々に増えていき、最近では「薄いな」と感じる次第です。
去年までと同様に、美味しいコーヒーが飲めるように国際価格のさらなる下落と円高進行を密かに願っています。