2023年はコモディティの年になる
今週のコモディティ市場では、米金融大手ゴールドマン・サックスが「2023年はコモディティの年になると予想した」ことが話題になりました。コモディティが「優れたトータルリターン」を生み出し、世界のマクロ経済状況の根本的な変化と低水準の在庫に後押し。他の資産を再びアウトパフォームする可能性が高いとの見解を示したといいます。
同社は「マクロとミクロの動態が再調整されているため、投資家はコモディティセクターと長期的な設備投資の深刻な不足を示している長期的な超シクリカル(景気循環)を巡る議論に改めて注目する可能性が高い」と指摘し、S&P GSCI商品指数において「3カ月の期間で9.9%」、「6カ月で17.3%」、「1年で31.2%」のリターンを予想しています。
注目すべきはエネルギーセクターでの46.9%のリターン予想。「原油市場はロシアの生産減少と需要増を織り込んでいない」と指摘し、「中国の再開は変革をもたらす」と言及。「原油や石油精製品、液化天然ガス、大豆などのコモディティは中国の需要の追い風を受ける」との考えを示しています。
S&P GSCI商品指数の日足チャート
出所:Trading View
*S&P GSCI商品指数とは、世界の商品市況の総合的な値動きを表すコモディティ・インデックスです。
S&P GSCI商品指数と同等のリターンを目指すETF
第12回の記事でご紹介したGSG 『iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト』。こちらは、S&P GSCI商品指数と同等の投資成果を目指しており、幅広いコモディティ先物グループで構成されています。エネルギー・工業用・希少金属・農業・畜産市場への手軽なアクセスが可能となっています。
世界の商品市場全体の動きを表す商品指数に連動したETFですので、GSGに投資することは、幅広い商品市場に分散投資することと同義と言えます。
GSGの日足チャート
出所:Trading View
頂点に立つのは金(ゴールド)!!!
また、ゴールドマン・サックスは「2022年後半には各国中銀の金融引き締めとドル高がコモディティに逆風となっていたものの、今後はドルの持続的な変化がコモディティを大幅に上昇させる材料になるだろう」としています。特に金(ゴールド)について、「米連邦準備理事会(FRB)が成長懸念に一段とシフトし、利上げペースを鈍化させ、ETF保有が安定化する可能性がある中では、【脱ドル化】は金にとって強力な強気の材料となる可能性が高い。持続的な上昇の頂点に立つだろう」と指摘しています。
NY金先物相場の日足チャート
出所:Trading View
NY商品取引所(COMEX)で取引の中心となる2月限は26日、1トロイオンス=1930.0 ドルで取引を終えています。一時1949.8ドルと中心限月として昨年4月以来約9カ月ぶりの高値を更新する場面がありました。米インフレ圧力の後退を受けてFRBが利上げのペースを緩めるとの期待が引き続き相場を下支えしています。
来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げが確実視される中、カナダ中銀(BOC)と同様に今後は利上げをいったん停止する可能性を示唆するのではないかとの思惑も浮上しています。
市場の注目が将来的な景気動向に移りつつある中、リセッションに対する懸念から株価が下落基調を強めるのに伴って、「安全資産としての需要が相場を押し上げるシナリオにも期待したい」との声も聞かれています。依然として、「目先は強気の流れが続く」と予想する向きは多いようです。私も個人的見解ですが、「今年は金(ゴールド)が光り輝く年になる(金だけに)」とみています。
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