ニックのご神託
前週末の10月21日、FEDウォッチャーの記事をきっかけにマーケットは大きく動きました。
米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は最新の投稿で「11月1-2日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では通常の3倍にあたる0.75%の利上げを決める見通し」と指摘。さらに12月FOMCで利上げペースを減速させるかどうか、その場合には市場にどう伝えていくかが政策議論の焦点になると報じました。
米連邦準備理事会(FRB)内からは、早期に利上げペースを緩め、かつ来年初めに停止することを求める声も出始めており、「今年これまでに実施した利上げがどれほど景気を冷やしているか、見極めるため」と指摘しています。これらの背景には「いたずらに景気の急減速を招く事態を回避したい」との、「やり過ぎるリスク」を意識しているといいます。
ニック氏は非公式ながらFRBの意向を代弁していることが多いと見られています。つまり、ニック氏を通じて事前にマーケットにFRBの政策などを織り込ませているのです。
ドルは天井を打ったのか!?
外国為替市場では「ドルは天井を打ったのか!?」との声も聞かれて始めています。前週末から「Fed Pivot」を意識したポジション調整のドル売りが優勢となっていますが、ポジション調整ではない可能性も意識されています。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスの日足チャートを見ると、一時109.78と9月20日以来の安値を付けており、いったん天井を打ったようにも見えます。
出所:Trading View
「Fed Pivot」を強く意識させた背景には、今週のカナダ中銀(BOC)が利上げペースを減速したこともあります。
BOCは26日、政策金利を現行の3.25%から3.75%に引き上げましたが、利上げ幅は0.50%と予想の0.75%を下回り、前回の0.75%から縮小しました。リセッション(景気後退)リスクが高まる中で、利上げサイクルが終わりに近づきつつあることを示唆するものであり、他の中銀のモデルとなる可能性があります。市場では「BOCの動きを受けて、各国中銀が利上げサイクルの終了に近づきつつあるとの見方が浮上した」との声が聞かれています。
ドル高の終わりはコモディティに追い風
コモディティ市場では足もとのドル高一服を受けて、原油や金などが反発傾向にあります。原油に関しては、本格的な冬の到来を控えて、暖房需要の増加や石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」の減産によって需給が逼迫するとの見通しも支えとなりやすい地合いです。
出所:Trading View
金に関しては、景気の落ち込みに対する懸念が高まり、株価が再び下落傾向を強めれば、投資家がリスク回避=安全資産としての需要が高まる可能性があります。最近ではドル相場の動向に左右されることが多いため、あまり意識されていませんが、相場を支える材料となるかもしれません。
出所:Trading View