注目のFOMCは「タカ」 株もコモディティも下落
今週は日本や米国など各国中銀の金融政策の発表が相次いだビッグイベント満載の1週間となりました。注目はやはり、21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でしょう。結果は予想以上の「タカ派的な内容」となり金利が上昇。株価は急落しました。金や原油などはウクライナ情勢の一段の悪化が懸念されて買いが入る場面もありましたが、上値は重い状況です。
やはり米国の金融政策の動向、そして第11回の記事でも紹介した通り、巨大なマーケットである「米国株」の動向にどうしても連れてしまいます。米国株がこのまま下落し続ければ、コモディティも仮想通貨もとにかくあらゆるリスク資産が下落。資金が流出してしまいます。
一方で、これまで押し目がなかった商品や株式(たとえば第10回の記事で紹介したコモディティ関連銘柄)などを買う良いタイミングが近づいてきている、とも言えます。普段はなかなか下がらない銘柄も、米国株の下落につれて下がってきた場合には、少しずつ拾っていくのが良いかもしれません。
ただ、株価がどこで下げ止まるかは誰にも分かりません。パウエルFRB議長も「景気後退(リセッション)につながるかどうかは誰にも分からない」と言っていますし、慎重に少しずつ少しずつゆっくりと拾っていくのが良いでしょう。
私が考える最強の「コモディティ関連ETF」
さて、前回からご紹介している私が考える最強の「コモディティ関連ETF」ですが、直近1年間のパフォーマンスではGSG 『iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト』が36%超の上昇で上昇率トップとなりました。GSGの構成割合は下のグラフの通りです。他のコモディティ・インデックスよりエネルギーセクターの割合が多いのが特徴です。信託報酬は年率0.75%です。
出典:ブラックロック・アセット・マネジメント・インターナショナル・インク
2位はDBC 『インベスコDBコモディティ・インデックス・トラッキング・ファンド』で直近1年間のパフォーマンスが30%超高。DBCの構成割合は下のグラフの通り。取引量の多い重要なコモディティ 14 種類の先物によって構成されており、GSGと比べると家畜がない一方で、カテゴリー数が少なくエネルギーへの依存は小さくなっています。信託報酬は年率0.85%です。
出典:インベスコ Ltd.
3位はDBA 『インベスコDBアグリカルチャー・ファンドETF』で直近1年間のパフォーマンスは6%超高。DBAの構成割合は下のグラフの通り。農業分野におけるコモディティにまとめて投資できるETFになります(農業と家畜のみ)。信託報酬は年率0.85%です。
出典:インベスコ Ltd.
そして、4位はMOO 『ヴァンエック・アグリビジネスETF』で直近1年間のパフォーマンスは4.5%の下落(!?)。MOOの構成上位10銘柄は下のグラフの通り。農薬や動物用医薬品、肥料、農業機械、養殖、漁業、家畜、栽培、農産物の取引などに携わる企業で構成されており、直近分配金(2021年12月)は前週末時点で0.02%です。信託報酬は年率0.56%です。
出典:ヴァンエック・グローバル
唯一マイナスとなってしまった『MOO』 しかし・・・
唯一マイナスとなってしまった『MOO』ですが、安定リターンを求める投資家にはお勧めの銘柄と言われており、実は秘めたる力を持っているのです。直近1年に限れば、「ククク…奴は四天王の中でも最弱」と言われそうですが、長期で見れば「最強」と言われる可能性も。
例えば下のチャートは期間を1年ではなく、5年にして比較したチャートです。
MOO(太い青色)とGSG、DBC、DBAを比べたもので、縦軸は値動きの比率になります。
するとどうでしょう!!!MOO(太い青色)のパフォーマンスは50%超え!!!1位のDBCの62%には及びませんが、信託報酬が年率0.56%と他と比べると低く、少ないながらも配当が出ることを考慮すると、なかなかのリターンかと思われます。
出所:Yahoo Finance
安定リターンを求める投資家にはお勧め!?
第10回「投資の神様が保有するコモディティ関連銘柄」でご紹介した丸紅と同じで企業努力による部分が多い可能性もありますが、「安定リターンを求める投資家にはお勧めの銘柄」といわれるのも頷けます。
まだまだ資金が大きくない方やまずは少額投資から始めたい初心者の方は「あれもこれもと手を出せない状況」かと思います。「MOOは株を集めたETF、他はコモディティ先物を集めたETF」であり、MOOなら株とコモディティの両面のメリットを享受できる可能性も。だからこそ、そういった方には強い味方になってくれる「最強のコモディティ関連ETF」かもしれません。
*記事内では個別銘柄に言及しておりますが、当該銘柄を推奨するものではありません。また、特定銘柄および株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。最終的な投資の意志決定はご自身の判断でなさるようお願いいたします。