いったい何に投資をすれば良いのか?
前回の記事「値上げラッシュの秋迫る!岸田首相は小麦の売渡価格据え置きを指示」の最後で指摘したように、世界的にインフレが進む中で、私たちの生活を守るためには今あるお金を守り、さらに増やす必要があります。大事に貯金をするだけではお金の価値は目減りしていきます。「インフレ」=物価が上昇すると、同じ金額で買えるモノやサービスの量が少なくなるため、「お金の価値が目減りする」ことになるからです。
そして、早速小麦を中心に農産物などコモディティに関連した金融商品に投資をしようと思っても、商品が多すぎるため、いったい何に投資をすれば良いのか?との問題がある、と述べさせて頂きました。
コモディティ全体で見れば、すべてを把握している人はいないのでは?という多さ。農産物に絞っても、関連した国内株やETF(上場投資信託)、ETN(上場投資証券)、投資信託に先物やCFDなど様々な金融商品が存在します。勿論、これは我々のような一般投資家にとっては非常にありがたいこと。長期投資にしろ、短期売買のトレードにしろ、収益向上を目指すのに充実した環境であると言えます。かつてはプロしか知り得なかった情報もインターネットの普及と共に、個人も取引に必要な情報を自由に入手できるようになりました。
コモディティに関連した主なETF
とはいえ、コモディティに関しては株式やFX(外国為替証拠金取引)と比べて、一般の投資家にとってはなじみが薄いもの。原油や金、大豆やコーヒー、そして小麦などかなり身近にある商品とはいえ、これらに投資orトレードするとなると「どこで?」「どうやって?」と首を捻ることになりそうですね。
そこで、まずは国内の証券会社で国内株式と同じように取引が可能な国内ETFを見ていきたいと思います。下はコモディティに関連した主なETFを過去1年の騰落率順に並べたものです。
この図をみると、コモディティに関連した主なETFはほぼ上昇しており、その中でも「エネルギー価格の上昇が顕著」ということが分かります。そして、このところ特にニュースなどで話題になっている天然ガス価格の急騰が凄まじいことが見て取れます。このガスETF<1689>の圧倒的なパフォーマンス!!!この1年でなんと2.8倍!!!(8月22日時点)
なお、ガスETF<1689>は正式名称「WisdomTree 天然ガス上場投資信託」。コモディティ投資の際のベンチマークとして広く利用されている「Bloomberg Natural Gas Subindex」の総合商品指数に連動する投資成果を目指すETFとなっています。売買単位は100口単位で分配金の支払いはありません。
エネルギー価格の再上昇リスクあり
原油など天然ガス以外のエネルギー価格はこのところ頭打ちとなっていますが、冬期(北半球)に向けた需給環境は楽観できません。地政学リスクの一段の悪化などがエネルギー価格の再上昇、そしてインフレの再加速に繋がり、各国中銀が予想以上の利上げに踏み切れば、市場はさらに混乱し、世界的な「スタグフレーション」に陥る可能性があります。
ドイツ連銀のナーゲル総裁は前週末、独紙とのインタビューで「欧州中央銀行(ECB)は利上げを継続すべき」と述べ、「エネルギー情勢が悪化した場合、ドイツは景気後退に陥る可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
これはドイツだけに限ったことではなく、日本国内でも今回の物価上昇の大部分が国内に起因したものでないことから、インフレと景気後退が同時進行する「スタグフレーション」に陥る懸念がある点に注意する必要があります。
先週から個人的に話題にしている小麦にしろ、原油などにしろ、天然ガス以外のコモディティ価格はチャートだけ見ると、いったん頭打ちの格好となっていますが、まだまだ予断は許さない状況です。金融市場では「日本の消費者物価は年末にかけて総合、コアとも前年同月比3%近くまで伸びが高まる可能性がある」と見るアナリストが多いようです。
と、金融市場の先行き不透明感からついつい湿っぽいことをぼやいてしまいました。
次回は「穀物関連銘柄」と「穀物関連に投資する投資信託」について見ていきたいと思います。