今回はREITを買うタイミングについての考え方について解説します。なお、特殊なテクニックについての話ではなく、初心者の方向けの内容となります。
まずはチャートを確認
REITの購入を検討される場合、まずはチャートを確認することをお勧めします。
こちらは日本を代表するJ-REIT、日本ビルファンド(8951)のチャートとなります。ビルファンドを推奨する目的ではありませんので、その点はご了承ください。あくまで具体的な銘柄で解説した方がイメージしやすいという観点から取り上げています。
チャートは左側が週足で、右側が日足となります。左側の赤枠で囲った範囲を1日単位でより細かく見たのが右側となります。
これを見ると、週足ではダラダラと下げ基調が続いていますが、日足では横ばいに近い状態が長く続いており、売り圧力が和らいでいるようにも見えます。
ここでは、ざっくりとしたイメージをつかむことが重要です。初心者の方であれば、フラットになっている時の方が判断ミスを避ける確率が上がると思われます。
分配金を考慮して許容できる下値をイメージ
値動きをチェックした後は、投資口価格について掘り下げてみましょう。日本ビルファンドの4月11日の終値は55万4000円でした。次に、予想分配金について見て行きましょう。予想分配金は会社のホームページで確認できます。ビルファンドの場合、予想分配金は23.6期が11,500円、23.12期が11,500円となっています。この時点での予想分配金利回りは4.15%となります。
次に、分配金を考慮すれば許容できる下値について計算してみましょう。ここではざっくり4%として、その分を割り引いた水準を算出してみます。現状の投資口価格から4%下の水準を計算すると、53万1000円(1000円以下は切り捨て)となります。2年分として8%(4×2)下の水準を計算すると、50万9000円、3年分だと48万7000円となります。
分配金の水準が大きく変化しない仮定のもとでは、3年分の分配金を受け取れば49万円くらいまで投資口価格が下落してもトントンというイメージができます。
過去の安値を確認
次に、買いたい銘柄の過去の安値をチェックしてみましょう。過去の安値に関しては、証券会社の投資ツールのほか、ヤフーファイナンスなどでも確認することができます。ビルファンドの過去の安値を調べてみると、2020年10月に52万2000円の安値をつけています。もっと遡ると、2015年8月に49万1000円の安値をつけています。
その過去の安値と先ほど算出した水準を見比べてみることで、より踏み込んだ分析・シュミレーションが可能となります。この銘柄であれば、50万円を割り込むのは結構レアケースであり、それであれば3年程度保有できるならリスクは小さいかなと考えることができます。
もちろん、将来的に過去の安値を割り込む可能性がないとは言えません。ただ、過去の安値に接近したところでは押し目買いが入るということもよくあります。
REITは分配金に対する信頼が相対的に高い
利回りが一定ということを前提とした考え方は、株式投資ではリスクを伴います。株式の場合、配当利回りが高いことは株価の下支え要因にはなるのですが、下値のメドは見えません。先々で会社が無配を決定することもありますので、配当利回りが高くてもそのまま放置される銘柄も結構あります。
一方、REITは不動産から得られる賃料が収益の源泉で、利益の大半を分配金に回す上に、どのような物件で運用しているかもホームページなどで確認できます。分配金に対する信頼度が高いため、理詰めである程度リスクを抑えることができます。
初心者の方は、投資には興味がある、でも買うタイミングがわからないといったところでつまずいてしまうことがあるかと思います。リスクに慣れるという点では、まずREITから初めてみるというのも良いかもしれません。
その際に
・派手に動いている銘柄を避ける
・ホームページなどで分配金の水準を確認する(安定した分配金が長期で続いている方がベター)
・過去の安値をチェック
・そこまで下げた場合、何年保有すれば分配金でカバーできるかをざっくりイメージする
こういった順序を踏んだ上で銘柄を購入すれば、失敗する確率をより低下させることができるかと思います。