REIT指数が下げ止まりません。
「出遅れるREIT指数」では、2024年に入って日経平均が大きく上昇する一方、REITが低調に推移していることについて触れましたが、2月に入ると下方向に勢いがついています。今週に入って2月19日には節目の1700ポイントを割り込む場面もありました。
陰線が連続で並ぶ
特に取引時間中の動きが弱く、2月5日から20日まで11営業日連続で陰線を形成しています。終値が始値を下回ると陰線となります。この11営業日ではプラスで終えた日も3営業日あるだけに、売り圧力の強さが印象付けられています。
現時点では明確な売り材料が不明
2023年のREIT指数は、下げる場面があっても1800ポイント近辺では押し目買いが入っていました。実際、昨年後半も1800ポイントを割り込みましたが、年末には1800ポイント台を回復しました。
2024年も1月は1800ポイントより上で推移する場面が多かっただけに、2月に入ってからの動きは異様といえます。
ただ、ここまで鋭角的に下げてしまうと、「利回り面で妙味がある水準になった」という理由だけで反転を期待するのは楽観的かもしれません。
やっかいなことに、現時点では明確な売り材料がはっきりしません。
「出遅れるREIT指数」で指摘したように
・米国の長期金利が下がりづらくなっている
・日本の長期金利は今後、方向としては上がりそう
という点はあります。
ただ、足元の日米の金利がJ-REITをここまで売り込まなければいけないほど、激しく上昇しているわけではありません。
主な投資主体である地方銀行が何らかの理由でJ-REITを売っている、多くの地銀が同じ行動を採っているといった見方もあります。直近の下げ方をみるとそのようでもありますが、その場合、ある程度売り需要を消化しないと需給が改善してこないと考えられます。
ここからのイメージ①
ここからのREIT指数に関しては2つのパターンが考えられます。
一つは、下げの理由がある程度クリアになるパターン。REIT指数に限った話ではないですが、理由なく下げが続くというのが投資家目線では一番気味が悪い状態となります。一方、下げの理由がはっきりしてくれば、そのことでもう一段下げたとしても、悪材料出尽くし感が出てきます。
地銀が売っているかどうかといった話はすぐには分かりませんが、そういった動きが活発になってくれば新聞などで特集記事も出てきますので、早晩周知されることになると思われます。
このパターンでは売り圧力が和らいでくればV字回復にも期待が持てます。
ここからのイメージ②
下げの理由がはっきりしない場合でも、REITは安定した分配金が期待できるため、どこかで売りは一巡すると思われます。ただ、なぜ下げたのかがクリアにならないと、また同じような下げに見舞われる恐怖感から、押し目買いは恐る恐るとなります。そのため、下げた明確な理由がはっきりしないままの状況が続くパターンでは、しばらくは低空飛行が続くと思われます。
落ちるナイフをつかむな
株式市場には「落ちるナイフをつかむな」という相場格言があります。急落している銘柄はつい買いたくなってしまうけれども痛手を負うことも多いことを言い表しています。
残念ながら今のJ-REITは落ちるナイフの状態になっていると考えられます。リバウンドしても戻り売りに押されるリスクがありますので、慌てて飛びつくのは得策ではないように思われます。
下げの明確な理由が周知されてくれば押し目買いも一考ですが、その場合でも想定している全額を一気に投入するのではなく、複数回に分けて購入する方が良いでしょう。
下げの理由がはっきりしない②のパターンでは、値動きがフラットになるまで待って、陽線の出現が多くなってきた辺りが押し目買いのタイミングとなります。