「3社合併で巨大REITが誕生」の回で取り上げたケネディクス系のREITが合併し、11月1日からKDX不動産投資法人(8972、以下KDX)として始動しました。
オフィス、住居、商業が3本柱
合併後のポートフォリオを会社のホームページで確認すると、2023年11月1日時点で保有物件数は350物件、用途別(取得価格ベース)では、オフィスビル37.8%、居住用施設27.8%、商業施設24.7%、物流施設1.8%、宿泊施設0.8%、ヘルスケア施設7.2%となっています。合併前の3REITがそれぞれ主力としていたオフィス、住居、商業を3本の柱とした総合型のREITとなっています。
時価総額でトップ10入り
11月7日の時点では時価総額で約6700億円、J-REITの時価総額ランキングでは7位となっています。5位のGLP投資法人(3281)や6位の日本都市ファンド投資法人(8953)が6800億円レベルでこれらと近く、準大手クラスのREITに生まれ変わりました。
MSCIの指数に組み入れ
KDXは11月1日に、米国のMSCI社が算出・公表する株価指数で、世界の機関投資家がベンチマークとして活用する「MSCI Global Standard Indexes」に組み入れられたことを公表しました。J-REIT58銘柄の中で同指数の組み入れ対象となっているのは8銘柄(同社を含む)とのことです。
合併を発表した時点で同指数への組み入れは視野に入っていましたが、実際に組み入れが決まったことで、投資家の注目度が一段高まることが期待されます。
11月1日は大幅高スタート
投資口価格の推移を見てみましょう。なお、合併前は存続投資法人であるケネディクス・オフィス投資法人の値動きとなります。また、11月1日付けで1:2の分割を発表(権利付き最終日は10月27日)していますので、チャートはこの影響を考慮しています。
10月は米国の長期金利が大きく上昇(米長期金利の5%乗せとJ-REIT)するなどREITには逆風の地合いであったことから、調整色を強めました。ケネディクス・オフィスが10月決算銘柄であったことから、10月30日には権利落ちで水準を大きく切り下げています。
しかし、KDX不動産投資法人として新たなスタートを切った11月1日は大幅高となりました。高く始まり、上げ幅を広げて終えています。
時価総額上位REITでは分配金利回りは高め
足元では米国の長期金利が5%に乗せた後に急低下する場面がありました。金利が低下してくればREITの投資妙味は高まります。その際、変化を遂げたことで新味のある銘柄となったKDXは、他のREITに比べてクローズアップされる場面が増えてくるかもしれません。
KDXでは現時点で2024.4期の分配金を3800円と予想しています。11月7日の終値は16万2900円で、これをもとにした予想分配金利回りは4.7%。時価総額が上位のREITの中では高い部類に入ります。合併によって、投資法人としての規模や時価総額は増大しました。このことが安心材料となるならば、高い利回りが評価されて投資口価格の上昇につながることが期待できます。そういった動きが見られるかどうかが、同REITを見る上での注目点となります。