J-REITにはスポンサーが同一のREITがいくつか存在します。今回はスポンサー側からREITを整理してみたいと思います。
三井不動産は3つのJ-REITのスポンサー
2022年3月7日時点で、J-REITの中で時価総額が最大となっているのが日本ビルファンド投資法人(8951)で、そのメインスポンサーは三井不動産です。そして三井不動産がスポンサーとなっているJ-REITは、ほかにも三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)と日本アコモデーションファンド投資法人(3226)があります。
スポンサー:三井不動産
日本ビルファンド(8951) オフィス系
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471) 物流系
日本アコモデーションファンド投資法人(3226) 住居系
ビルファンドはオフィス系、ロジスティクスパークは物流系、日本アコモは「J-REITは2月決算が多い」でも紹介しましたが、住居系のREITとなります。このように、同じ会社が複数のスポンサーとなっている場合、それぞれの属性が明確になっていることが一般的です。
ケネディクスはオフィス・住居・商業
不動産投資関連の事業を展開するケネディクスも、三井不動産同様、3つのJ-REITのスポンサーとなっています。
スポンサー:ケネディクス
ケネディクス・オフィス投資法人(8972) オフィス系
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人(3278) 住居系
ケネディクス商業リート投資法人(3453) 商業系
こちらは投資法人名が冠+属性となっており、よりイメージがしやすいかと思います。なお、ケネディクス商業はJ-REITでは数少ない商業施設に特化したタイプのREITです。
大和証券や三井物産も複数のスポンサー
ほか、複数のJ-REITのスポンサーになっている企業をいくつか挙げてみます。
スポンサー:三菱地所
ジャパンリアルエステイト投資法人(8952) オフィス系
三菱地所物流リート投資法人(3481) 物流系
スポンサー:大和証券グループ本社
大和証券オフィス投資法人(8976) オフィス系
大和証券リビング投資法人(8986) 住居+ヘルスケア
スポンサー:いちご
いちごホテルリート投資法人(3463) ホテル系
いちごオフィスリート投資法人(8975) オフィス系
スポンサー:三井物産
投資法人みらい(3476) 総合型
日本ロジスティクスファンド投資法人(8967) 物流系
スポンサー:東急不動産
アクティビア・プロパティーズ投資法人(3279) 商業系
コンフォリア・レジデンシャル投資法人(3282) 住居系
REITですので不動産会社はイメージしやすいかと思いますが、大和証券グループ本社や三井物産も複数のREITのスポンサーとなっています。なお、投資法人みらいは、三井物産と独立系アセットマネジメント会社のイデラ キャピタルがスポンサーとなっています。なお、東急リアル・エステート投資法人(8957)というREITがありますが、こちらは東急不動産ではなく、電鉄事業を抱える東急がスポンサーとなっています。
REIT再編のキーマンになる可能性
スポンサーが同じだからといっても、それぞれのREITは独立しています。また、属性別に住み分けがなされているので、基本的には交じり合うことはありません。
ただ、REIT内で合従連衡などの動きが活発となってくる場合などは、スポンサーが同じであることが結びつきを強める要素にはなり得ます。また、逆にスポンサー視点で選択と集中がなされることにより、特定の属性から手を引くといった決断がなされることも想定されます。
以前、「REITの合併で投資家が期待できるメリットは?」で紹介した森トラスト総合リート投資法人と森トラスト・ホテルリート投資法人は、3月1日に合併して森トラストリート投資法人(8961)となりました。そして、合併近辺では出来高が増加しています。
合併が効果的であったかどうかは今後の推移を見ていく必要がありますが、世界的に長期金利の上昇が意識される中、こういった変化はこの先も多く出てくる可能性があります。複数のREITのスポンサーとなっている企業に関しては、そういった変化を起こすキーマン的な存在となるかもしれません。