日経平均が年初から派手に上昇する一方でREITは低調
2024年に入ってから、日本株が非常に強い動きを見せています。その一方で、東証REIT指数はさえない動きとなっています。
2023年の大納会を33467.17円で終えた日経平均は、今年に入って34000円、35000円、36000円と節目の水準をいくつも超えてきました。1月23日には36984.51円まで上昇。1月30日(終値:36065.86円)時点では、今年に入って7.8%高となっています。
一方、東証REIT指数は昨年の大納会を1806.96pで終えると、日経平均が直近の高値をつけた日と同じ1月23日に1845.33pまで上昇。ただ、その後に大きく失速し、1月30日(終値:1803.30p)の時点では昨年末比で0.2%安とマイナスとなっています。
市場は日銀の早期マイナス金利解除を意識
REIT指数が大きく失速した要因は、1月22日~23日に開催された日銀金融政策決定会合です。この会合では金融政策は現状維持となりました。ただ、会合後の植田総裁会見の内容から、市場はマイナス金利解除の時期が近いとの見方を強めました。マイナス金利が解除となれば国内長期金利の上昇が予想されることから、利回り商品のREITは売りに押されました。
米国の長期金利は低下の度合いが緩慢
米国は利上げの打ち止めが濃厚で、市場の関心はいつ利下げが行われるかに移っています。「米長期金利の5%乗せとJ-REIT」では、米国の10年債利回り(長期金利)が5%台に乗せたことを取り上げましたが、今この時点で振り返ってみると、2023年の10月辺りで米国の長期金利は天井を打ったように見えます。
ただ、足元で発表された米国の経済指標は内容が良好なものも多く、金利の低下度合いは緩やかとなっています。金利上昇に対する警戒は払拭されている一方、大きく低下するほど米国の経済は弱くないという状況です。山登りに例えると、山頂には到達して既に山は下っている。ただ、帰り道は曲がりくねっていて下山には時間がかかりそうといったところでしょうか。
J-REITは国内の金利動向がより重要に
これまでは、米国が複数回の利上げを実施する中でも日本は低金利政策を継続していました。しかし、日本の金融政策はこれまでとは変わってくるかもしれません。J-REITは日本の不動産が投資対象となるため、日本の金利動向がより重要となります。
市場では4月25日~26日の日銀会合でマイナス金利が解除されるのではないかとの見方が強まっています。政策変更があるなら、その手前、3月18日~19日の会合でも何らかのメッセージが出てくる可能性があります。
5月辺りまでは上値が重い可能性
J-REITに関しては、4月の日銀会合を通過するまでは上値の重い状態が続く可能性があります。ただ、日本が金利の上昇を許容できるくらい経済が良くなるのであれば、中長期の視点では不動産にも好影響が期待できます。不動産賃料が上昇してくれば、REITの収益拡大につながります。
REIT指数が日経平均に大きく見劣りしていることから、個別のREITも足元の値動きがさえないものが多くあります。ただ、その分、予想分配金利回りが4%を超える銘柄も増えてきました。不動産から得られる賃料収入は比較的安定しています。今は景気が悪化して賃料収入が落ち込みそうという状況ではありません。
米国の方は緩やかとはいえ長期金利は低下基調にありますので、こちらは下支え要因になると期待できます。また、実際に日銀が政策の修正・変更に踏み切ったとしても、国内長期金利の上昇の度合いがそれほど大きくなかった場合には、J-REITには見直しの余地が出てきます。これらの点を踏まえると、今はすぐに値上がり益を期待できるような環境ではないものの、分配金重視でじっくり構えて投資を検討するには悪くないタイミングと考えられます。