先週のJ-REIT市場で、大江戸温泉リート投資法人(3472)が急騰しました。
大きなニュースが出てきており、12月12日にアパグループとスポンサーサポート契約を締結したことが買い材料となりました。
アパグループが新たなスポンサーに
J-REITを見る上では、スポンサーは重要な要素となります。スポンサーの力が強いと、優良な物件を取得できることへの期待が高まります。
今回、スポンサーとなるアパグループ傘下のアパホールディングスは、2023年11月末時点で資本金9000万円、純資産2323億円、総資産6705億円の大企業です。全国的にホテルを展開しており、実際に利用された方も多いのではないでしょうか。
大江戸温泉リートは協業の意義として、『アパグループが主要金融機関との良好なリレーションを構築しており、財務面での支援が期待できる』ということを挙げています。また、2023年12月から2025年11月(24.5期~25.11期)をフェーズ1、2025年12月から2027年11月(26.5期~27.11期)をフェーズ2として、段階的に資産規模を拡大させていく計画を示しています。
今回、アパグループがスポンサーとなったことで、今後の同投資法人の信用度が増し、ポートフォリオのラインナップが拡充していくことが期待されます。
今後の組み入れ物件の属性にも注目
投資口価格が急上昇したことをみてもわかるように、今回の発表は大江戸温泉リートからすればかなりのポジティブニュースと言えます。
今後は新たにポートフォリオに組み入れられる物件の属性も注目されます。大江戸温泉リートは「温泉以外も始めます」で取り上げましたが、今年1月に規約を一部変更し、温泉以外の物件も組み入れる体制を整えました。2023年12月18日時点での会社HPでポートフォリオを確認すると、余暇活用型(ホテル・温泉宿等)施設が11物件、アコモデーション施設が4物件となっており、取得価格ベースでは余暇活用型が86.4%、アコモデーションが13.6%の割合となっています。
大江戸温泉リートが規約を変更して温泉以外の物件を組み入れられるようにしたのは、温浴施設だけだと再び行動制限が全国に拡大するような事象が発生した場合、業績が不安定になることへの懸念が背景にあったと考えられます。
しかし、アパグループが展開するホテルはビジネスユースのものも多く、同じホテルでもある程度リスクを分散することができます。投資運用方針は変更せずとしていますが、新たに加わる物件はアコモデーション施設よりも余暇活用型施設の割合が多くなってくるかもしれません。
資産運用会社の商号を変更
本日、2023年12月19日に資産運用会社の商号を変更しており、従来の大江戸温泉アセットマネジメント株式会社から新商号はアパ投資顧問株式会社となりました。アパグループは知名度はありますが、系列の企業は現時点で株式市場には上場していません。そのため、アパグループに投資できる金融商品として注目される要素があります。今後、「アパホテル」がポートフォリオに加わって、投資主優待などが実施されるようなことになれば、人気も高まりそうです。
温泉特化型のユニークなREITとして2016年に上場しましたが、新型コロナウイルスが猛威をふるったこともあり、上場後は苦戦もしました。今回の件で投資口価格は急騰しましたが、それでもまだJ-REITの中で時価総額は最下位という状況です。下剋上的な変身を遂げることができるか、これから出てくるリリースや投資口価格の動向が大きく注目されます。