REIT指数が一時1700pを割り込む
足元で東証REIT指数が調整色を強めています。
10月8日の取引時間中には節目の1700pを割り込む場面がありました。
REITの戻りを抑えた2つの材料
REIT指数は8月に急落した後は順調に戻していましたが、8月28日に1799.30pまで水準を切り上げた後、1800pの節目を超えることができず、戻り売りに押されました。
その後、しばらく1750p近辺での一進一退が続きましたが、9月下旬から10月にかけて一段安となっています。
大きく下げる要因が2つありました。自民党総裁選と米国の雇用統計です。
自民党新総裁決定を受けた9月30日に大幅安
今回の自民党総裁選の近辺では日経平均の値動きがかなり荒くなっており、9月26日と27日に大幅高、30日に大幅安となりました。REIT指数は日経平均が大きく上昇した9月26日と27日はプラスでは終えたものの、そこまで強い上昇とはなりませんでした。一方、日経平均が大幅安となった9月30日には大きく崩れました。
早期の追加利上げに否定的な見方を示していた高市早苗氏ではなく、石破茂氏が自民党の総裁になったことで、国内長期金利の上昇が抑制されるとの期待が大きく後退し、REITは売りに押されました。
その後、新総裁となった石破氏からも「今は追加の利上げを行うような環境とはみていない」と、早期の利上げに否定的な発言が出てきました。この発言を受けて10月3日の日経平均は大きく上昇しましたが、REIT指数への好影響は限定的となりました。
良好な米雇用統計を受けて10月7日にも大幅安
10月4日に発表された米国の9月雇用統計は、市場予想を大きく上回る好内容でした。これを受けて、米国の10年債利回りは大きく上昇し、4%台に乗せました。
利回り商品のREITにとって長期金利の上昇は逆風となります。4日の米国株が金利上昇を受けても強い動きを見せたことから7日の日経平均は大幅高となりましたが、REIT指数は大幅安と明暗分かれる動きとなりました。そして、その翌日の8日に一時1700pを割り込みました。
10月の日銀会合が重要なポイントに
この先のスケジュールでは、10月30日~31日に開催される日銀金融政策決定会合が注目されます。本日10月9日に衆議院が解散され、10月27日の投開票が決まりました。10月会合はこの直後ですので政策が変更される可能性は低いです。
日銀から追加利上げに対してそこまで前のめりではないといったメッセージが市場に届けられれば、REITには見直し買いが入りやすくなります。一方、年内など遠くない時期に追加の利上げがあるかもしれないといった見方が示された場合には、REITはもう一段売られるリスクがあります。
テクニカル的にはREIT指数はもみ合いを下に放れた形となりましたので、弱材料に対して敏感に反応しやすくなっています。頻繁に1700pを割り込むようだと「まだ下がある」との警戒が強まってきます。1700p近辺で踏みとどまり、当面の売り出尽くし感が出てくるかが今後のポイントとなります。