住宅系REITが下げ足を強める
10月に入ってJ-REITが軟調に推移していますが、その中で、アドバンス・レジデンス(3269)、コンフォリア・レジデンシャル(3282)、日本アコモデーションファンド(3226)など、住居系REITの下げが大きくなっています。
それぞれ8月から9月中旬辺りまでは堅調でしたが、ここにきてガクッと水準を切り下げています。
住居系は賃料上昇に対する期待値が相対系に低い
住居系については属性解説(住居編)でその特徴について取り上げていますが、安定した分配金が期待できるという傾向があります。
一方、他の属性に比べると、賃料の引き上げが簡単ではないとみられています。オフィスや物流施設の場合、賃料が引き上げられたとしても、移転に関するコストも大きいだけに、テナントがすぐに退去するリスクはそれほど高くありません。
住居に関しては、物件を選ぶ大きな決め手が家賃であることが多いです。駅からの距離や間取りなどで同じ条件のものを探すことはそこまで困難ではなく、転居にかかるコストもオフィスなどに比べると低いです。住居系は他の属性との比較では、賃料アップに対する期待が低いと言えます。
投資口価格が下落しても分配金利回りはまだ低い
足元で投資口価格は下落しています。ただ、分配金利回り(2024年10月30日時点)を見ると、この3銘柄は3%台後半にとどまっています。
一般的には、投資口価格が下落すれば分配金利回りは上昇しますので、ある程度のところで利回り面での妙味が出てきて投資口価格の下値が固くなってきます。ただ、現状では3%台の分配金利回りは他のREITと比べて低い部類に入ります。利回り面からの下げ止まりというのはまだ期待しづらい状況にあります。
REIT全体の底打ちタイミングを探る一つの目安に
賃料アップが期待しづらい点や利回り妙味が乏しいという点から住居系の選好が弱まっているのであれば、これらはもう少し日柄か値幅の調整が必要になると思われます。
一方、昨年末(2023年12月29日)との比較では、3社とも9月末の時点ではプラスを保っていました。他の属性に比べて値を保っていた分、REITに流れがなかなか来ない中で見切り売りに押されたようにも見えます。こちらの要素が強いのであれば、住居系REITが下げ止まれば、REIT全体でも底打ち感が出てくるのではないかという仮説が立てられます。
REITから一段と資金逃避が進むのか、それとも、今がセリングクライマックス的な状況を迎えているのか、それを見極める意味でも、これら住居系の今後の値動きが大きく注目されます。