J-REITの投資先物件を見ると、東京およびその周辺の物件が非常に多くなっています。そこで今回は、あえてそのエリアを避けている、地方物件の比率が高い銘柄について、いくつか紹介します。
九州特化型の福岡リート
まずは福岡リート投資法人(8968)です。名前の通り、福岡の物件を中心に投資するスタンスを採っています。初の地域特化型REITとして、2005年6月に上場しました。2022年8月31日時点では福岡都市圏の比率が8割弱、それ以外も九州地域で占められています。
商業施設の「キャナルシティ博多」などがポートフォリオに入っており、福岡から離れた物件では那覇(沖縄)のホテルなどにも投資しています。
静岡・愛知・三重に投資する東海道リート
続いては、東海道リート投資法人(2989)です。2021年6月に上場したばかりのREITとなります。日本の東西の中心地をつなぐ東海道地域に着目するスタンスを採っており、静岡を中心に愛知、三重の物件に投資しています。2022年11月1日時点では、静岡が5割強、三重が3割弱、愛知が2割弱という構成となっています。
東海道エリアの中でも産業地域に重点的に投資しており、属性では住居系と物流系が2本柱となっています。
関西圏に強みを持つ阪急阪神リート
次は阪急阪神リート投資法人(8977)です。株式で阪急阪神ホールディングス(9042)が上場しているので、イメージは湧きやすいかと思いますが、関西圏の物件に投資しており、2022年7月19日時点では7割近くが関西となっています。なお、東京の物件も2割程度入っています。
商業施設が多い点が特徴で、7割近くが商業用途区画となっています。梅田で大きな赤い観覧車が特徴的な「HEPファイブ」などもポートフォリオに含まれています。
利回り面での妙味と独自性が魅力
地方物件の割合が高いREITに関しては、利回り面での妙味があることが魅力の一つとなります。一般的に同じ属性で比べた場合には、東京の物件の方が人気になりやすい分、利回りという点では抑えられる傾向があります。地方は元気のない地域では空室リスクを警戒する必要がありますが、大都市圏であればリスクは比較的小さいと考えられます。
また、関東以外の地域の経済が活気づくような場合には、こういった地方物件の多いREITの注目度が高まることがあります。実際にそういう局面が多いわけではありませんが、東京の不動産関連データに頭打ち感が出てきた際に、地方にはまだ伸びしろがあるといったことはあります。
イベントなども重要な要素となります。大阪では2025年に万博が開催予定です。また、福岡や大阪には熱狂的なファンが多いプロ野球球団がありますので、チームが強い時に相乗効果で特定地域の消費が盛り上がるといったことは期待できます。
ご自身の保有しているREITのポートフォリオが関東偏重型の場合、関東の比率が低いREITを入れておくというのは、エリア分散の観点からは有効な手段と言えるでしょう。また、これらのREITの業績を注意深く見ていくことで、地方の景況感を探ることもできるかと思います。