J-REIT市場では、足元で日本ビルファンド投資法人(8951)とジャパンリアルエステイト投資法人(8952)のオフィス系2大REITの値動きが非常に良くなっています。
ビルファンドは1:5の分割を発表
日本ビルファンドは8月15日に1:5の投資口分割を発表しました。現状では最低単位を購入するのに60万円以上の資金が必要となりますが、分割後は10万円台で購入できる見込みとなります。
ビルファンドは分割発表前から基調が上向きになっていましたが、発表を受けて一段高となりました。なお、9月が権利確定月(2024年9月30日が基準日)で、権利付き最終日は9月26日(木)となります。
9月13日には68万5000円まで上昇し、年初来高値を更新しています。昨年2023年の高値が63万2000円でしたので、戻り売りを相当程度こなしていると考えられます。
ジャパンリアルエステイトは年前半の不調を一気に挽回
ジャパンリアルエステイトは、今年前半はパフォーマンスの悪さが目立つ銘柄でした。2024年1月から6月までの騰落率はマイナス13%となっています。
しかし、8月に入ってからは動きが一変しました。9月10日には60万2000円まで上昇し、年初来高値を更新しています。
中小型に好影響が波及するかに注目
これらの銘柄に強い買いが入っている背景には、米国の長期金利低下に対する期待が高まっていることが背景にあると考えられます。「J-REITのアツい夏」でも触れましたが、ジャクソンホール会合を経て、米国の9月利下げは確実との見方が強まりました。そのような中、J-REITの中でも流動性の高い大型銘柄に資金が向かっています。
ビルファンドの分割も非常に良いタイミングで出てきました。ジャパンリアルエステイトの8月の急騰に関しては、「近いうちに分割があるかもしれない」といった期待からの買いも入っていたと推測されます。
ビルファンドとジャパンリアルエステイトの値動きが非常に良くなっている一方、それ以外では8月、9月に年初来高値を更新している銘柄がそれほど多いわけではありません。分配金利回りの面では、大型よりも中小型に分があります。米国の長期金利低下基調が続けば、利回り面での妙味からREITには資金が入りやすくなります。この先は大型2銘柄を先導役として、全体の底上げが進むかどうかが注目されます。