米長期金利の上昇を嫌気してREIT指数は軟調
米国の10年債利回り(長期金利)が足元で5%を超えてきました。長期金利の上昇は利回り商品のREITには逆風となります。東証REIT指数も足元ではさえない動きとなっています。
ただし下げの度合いは若干マイルドに
2022年10月の「米長期金利4%台の衝撃」の回では、米国の10年債利回りが4%に乗せてきたことがREIT指数の下落要因となったことについて触れました。あれから約1年、米国の長期金利は上昇基調が続き、5%に到達しました。
ただ、REIT指数は米10年債利回りが4%を突破した時と比べると、5%に乗せた際の動きは落ち着いているようにも見えます。ちなみに、少し長めのチャートで見ると、REIT指数は今年の3月につけた安値をまだ割り込んでいません。
今は五合目?八合目?山頂?
この反応に関しては、一つには長期金利の上昇局面が長く続いたことから、良くも悪くもマーケットがこの事象に慣れたということが考えられます。そしてもう一つ、そろそろピークが意識される水準まで米国の長期金利が上昇してきたのではないかということが考えられます。
5%に乗せて、ここからさらに6%、7%と上昇が続くかどうか。もしそうなった場合には、米国の実体経済にはかなりの悪影響が出てくると想定されます。銀行でお金を借りるにしても、金利の負担が相当なものとなります。経済活動が停滞して景気が悪化すれば、長期金利は低下に向かうことが予想されます。
足元の米10年債利回りは、5%に乗せて一段と上昇が加速するまでの動きにはなっていません。4.5%から5%までは比較的短い期間で上昇しましたが、さすがにここから際限なく上がり続けるとは、現時点では市場参加者も想定していないように見受けられます。
山登りに例えると、辺りは暗闇で山頂に到達しているかどうかはまだ判断できない。しかし、五合目は間違いなく超えており、少なくとも八合目くらいまでには達しているという現状認識といったところでしょうか。
まずは現状水準をキープできるかに注目
REIT指数に関しては、ひとまずは足元の1800p近辺で値固めできるかが注目されます。米金利上昇を受けて軟調に推移してはいますので、ここから1800pを明確に割り込んで、さらに下げが続いてしまうようだと、見切り売りに押されやすくなります。
一方、1800pより上で推移できるようであれば、ここからの下値は限定的との見方が強まってきます。長期金利が明確に低下してこないと強い上昇は期待しづらいですが、下げない状況が長く続けば、売り圧力は和らぎます。J-REITには厳しい環境が続いていますが、次回のFOMC(2023/10/31~11/1)を通過した辺りでREIT指数が1800pより上をキープできているようであれば、底打ちへの期待が高まりそうです。